「TOEIC800点のすごさってどれくらい?」
「TOEIC800点って取る意味あるの?メリットは?」
「TOEIC800点を目指すのにおすすめの参考書を知りたい」
TOEIC800点を目指している方で、このような疑問や悩みを持つ方はいませんか?
実際、TOEIC800点は英語上級レベルに該当し、全受験者の上位6.7%に入ります。
「そんなスコアを取るのは難しいのではないか?」と思われがちですが、コツを押さえて学習することと学習時間をしっかり確保することを意識すれば決して取得できないスコアではありません。
転職活動や昇進・昇給などさまざまな面で役に立つため、英語学習者の方にはぜひ目指してもらいたいです。
本記事では、TOEIC800点のすごさや、取得するメリット、TOEIC800点を取るための勉強法やおすすめの参考書などについて紹介します。
読み終わる頃には、TOEIC800点を取得するために自分がやるべきことが明確になるでしょう。
TOEIC800点のすごさとは?
TOEIC800点のすごさをより具体的に表すと、下記のようになります。
- 英語力は上級レベル
- 受験者の上位6.7%
- 正答率はおよそ85%
- 必要な単語数は8,500語程度
- CEFRではB2レベル
- ネイティブの英語がかなり聞き取れるレベル
本章では、これらの点についてさらに詳しく解説します。
TOEICの800点がどれほどのレベルであるのか、より鮮明にイメージできるようになるでしょう。
英語力は上級レベル
TOEIC800点の英語力は上級レベルに該当します。
どれほど上級レベルであるのか、リーディングとリスニングの2つの側面から確認しましょう。
リスニング
TOEIC800〜895点を取得できる人のリスニング力は、以下のようなレベルにあるとされています。
- ラジオのニュース番組で、最初にアナウンサーが言う主なニュース項目を理解できる
- 担当者が不在の時にかかってきた電話相手の用件(メッセージ)を受け取ることができる
- 新製品がどういった点で従来のものよりも優れているかについての説明を理解できる
- 職場で発生した問題について議論をしている同僚の話が理解できる
- 自分の業務に関連する議論の流れ、結論の理由が理解できる
- 自分の専門分野での発表やプレゼンテーションを聞いて理解できる
- 自分の専門分野での発表やプレゼンテーションの後に行われる質疑応答のやりとりを聞いて理解できる
引用元:ETS® TOEIC®「TOEIC® Listening & Reading Test」
リーディング
TOEIC800〜895点を取得できる人のリーディング力は、以下のようなレベルにあるとされています。
- 同業他社のアニュアルレポートを読んで理解できる
- 自社製品の販売に関する契約書類を読んで理解できる
- 英語で書かれたインターネットのページから、必要な情報・資料を探し収集できる
馴染みのある分野であれば、ビジネス関連の書類でも理解できるレベルだといえます。
ちなみにTOEIC900点以上になると、TimeやNewsweekといった雑誌に加え、自分の専門分野の高度な専門書を理解できるとされています。
受験者の上位6.7%
ETS® TOEIC®「TOEIC® Listening & Reading Test」によると、2022年度のTOEIC平均スコアは990点中493点でした。
リスニングの平均点は495点中277点、リーディングの平均点は495点中217点となっています。
そして同資料のスコア分布を見ると、795点以上を取得した人の割合はわずか6.7%です。
695点以上になると全体の14.8%、595点以上になると全体の28.3%と割合が大きく増えることから、TOEIC800点以上を取得することのすごさがわかります。
正答率はおよそ85%
TOEICのスコアは独自の配点方式で算出されるため断言することは難しいですが、TOEIC800点を取得するためにはおよそ85%の正答率が求められます。
つまり、リスニングとリーディングで計200問あるうち170問以上正解することが望ましいです。
特にリスニングセクションはリーディングセクションと比較すると高得点を狙いやすいため、集中して対策を行いましょう。
リーディングでは、速読力や文法力を身につけてケアレスミスをしないように注意してください。
必要な単語数は8,500語程度
TOEICで800点を取得するために必要な単語数は、およそ8,500語程度であると言われています。
必要な単語数については公式で発表されているわけではないため、この単語数はあくまで目安ではありますが、8,500語程度の単語力があればビジネス上のさまざまな業務をスムーズに遂行できるでしょう。
単語帳を選ぶ際には、「8,500語」を基準に選ぶとTOEIC800点に近づける可能性が高まります。
CEFRではB2レベル
CEFR(セファール)は、英語の習得状況を客観的に評価するために考案された国際的な指標の1つです。
日本でも大学入試やビジネスの現場において、英語力の指標として取り入れられています。
「TOEIC® Program各テストスコアとCEFRとの対照表」によると、TOEICとCEFRの換算は以下の通りです。
TOEICリスニング | TOEICリーディング | CEFR |
490〜 | 455〜 | C1 |
400〜 | 385〜 | B2 |
275〜 | 275〜 | B1 |
110〜 | 115〜 | A2 |
60〜 | 60〜 | A1 |
CEFRの評価は低い順にA1・A2・B1・B2・C1・C2となっていますが、TOEICで換算できるのはC1までとされています。
TOEIC800点は、概ねCEFRのB2レベル相当だといえます。
ネイティブの英語がかなり聞き取れるレベル
TOEIC800点以上の高得点を取得すれば、ネイティブが話す英語をほとんど聞き取れると思うかもしれません。
しかし、実際にはリスニングが難しいケースもあります。
なぜなら、TOEICでは主にビジネスシーンで使われる単語やフレーズが出題される傾向にあり、学習すべき内容が限られているからです。
TOEICで高得点が取れても、日常会話で扱うあらゆるトピックについて語彙や表現が身についているとは限りません。
また、TOEICのリスニングで使われる音源は比較的聞き取りやすいものになっています。
たしかに、下記のように多様な話者による音声が流れるものの、極端ななまりや癖が少なく、音声もクリアです。
- アメリカ
- イギリス
- カナダ
- オーストラリア
- ニュージーランド
一方、ネイティブ同士の日常会話や映画、ドラマなどにおけるリアルな英会話では、方言や癖が強かったり、周囲の雑音によって聞き取りにくかったりする場合があります。
逆にいえば、リスニング力がネイティブレベルに達していなくてもTOEIC800点は十分取得可能ということです。
TOEIC800点の難易度を他資格と比較
次に、TOEIC800点の難易度について下記の4つの資格と比較します。
- 英検
- TOEFL
- IELTS
- GTEC
他の英語資格の受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
しかし、いずれの資格もライティングやスピーキングなどTOEICの試験では測られていないスキルも測定しているため一概に比較することはできません。
あくまで「目安」として留めておきましょう。
英検では準1級レベル
英検は、公益財団法人日本英語検定協会が実施する英語4技能の検定試験です。
下記の7つの級に分けて試験がおこなわれ、3級以上は合否に加えて英検CSEスコアが表示されます。
英検CSEスコアはCEFRに対応しているため、自分の英語力がどれほどであるのかより具体的にイメージしやすくなります。
下記の表は、前述の「TOEICとCEFR」の換算表に「英検とCEFR」の換算表を追加したものです。
TOEICリスニング | TOEICリーディング | CEFR | 英検 |
490〜 | 455〜 | C1 | 1級 |
400〜 | 385〜 | B2 | 準1級〜1級 |
275〜 | 275〜 | B1 | 2級〜準1級 |
110〜 | 115〜 | A2 | 準2級〜2級 |
60〜 | 60〜 | A1 | 3級〜準2級 |
この表を見ると、TOEIC800点は英検準1級相当であることが分かります。
TOEFL iBTでは72〜94点レベル
TOEFL iBT(トーフル アイビーティー)とは、アメリカの非営利教育団体であるETSによって開発された、英語を母国語としない人を対象にした英語能力を測定するための資格試験です。
主に、下記のような目的で利用されます。
- 英語圏の大学・大学院に入学するための英語力の証明
- 日本の大学入試の選考基準
- 日本の大学のクラス分け
TOEFLは、海外の大学や大学院の授業を想定したアカデミックな内容になっていることが特徴です。
そのため「ビジネス英語」に特化したTOEICのスコアと比較することは難しいですが、TOEIC800点はTOEFL iBT 72〜94点ほどのスコアに換算されます。
出典:文部科学省「各試験団体のデータによるCEFRとの対照表」
TOEFLについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
IELTSではOverall6.0〜6.5レベル
IELTS(アイエルツ)とは、TOEFLと同様に海外の大学や大学院への入学、あるいは海外移住の際の英語力の証明に使われる資格試験です。
スコアについては、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4つのセクションそれぞれで1から9 まで0.5点刻みでバンドスコアを算出し、4技能全ての平均バンドスコアがOverallスコアとして算出されます。
TOEIC800点は、IELTSのOverallスコア6.0〜6.5程度に換算されます。
IELTS Overall 6.0は学士課程の入学基準に、6.5は修士課程の入学基準に設定している海外大学が多いです。
つまり、TOEIC800点を取得できれば、海外大学や大学院への入学も視野に入れられるということです。
IELTSについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
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GTEC CBTでは1,230〜1,350点レベル
GTECとは、ベネッセコーポレーションが実施するスコア型英語4技能検定です。
下記のようにさまざまな種類があり、小学生から社会人まで幅広い世代が受験できます。
対象者 | GTECの名称 |
小学校5年生 | GTEC Junior 1 |
小学校6年生 | GTEC Junior 2 |
中学1年生〜中学2年生 | GTEC Junior Plus |
中学1年生〜高校1年生 | GTEC Core |
中学3年生〜高校3年生 | GTEC Basic |
高校1年生〜高校3年生 | GTEC Advanced |
高校2年生〜高校3年生 | GTEC CBT |
大学生 | GTEC Academic |
社会人 | GTEC Business |
「TOEFL iBTでは72〜94点レベル」で紹介した図によると、TOEIC800点はGTEC CBT 1250〜1399点に換算することができます。
社会人がTOEIC800点を取得するメリット
社会人がTOEIC800点を取得するメリットは、下記の5つです。
- 海外事業部配属などのキャリアアップを目指せる
- 転職活動でアピールポイントになる
- 転職活動で外資系企業など企業選びの幅が広がる
- 海外就職などキャリアの選択肢が広がる
- 年収アップが目指せる
本章では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
これらのメリットを知ることで、TOEICの学習に対するモチベーションが高まるでしょう。
海外事業部配属などのキャリアアップを目指せる
TOEIC800点を取得することで、海外事業部配属などのキャリアアップを狙えます。
それは、企業では「TOEIC800点=日常業務やビジネスシーンでの英語の使用において、十分なコミュニケーション能力を持っている」と判断されるからです。
下記のように、英語が必要になる場面で即戦力になることが期待されることから、海外事業部や海外と取引をおこなう部署への配属を希望する場合、TOEIC800点は大きなアピール材料となるでしょう。
- 海外拠点とのやりとり
- 国際会議への参加
- 英語でのプレゼンテーション
- 取引先との交渉
仕事の幅が広がるため、結果として昇進や役職のステップアップにもつながり、国際的なキャリアを築くチャンスが高まるでしょう。
転職活動でアピールポイントになる
TOEIC800点を取得すると、転職活動でアピールポイントになります。
下記のように日常的に英語を使用する業界では、TOEICが採用基準の中で重視されているケースが多いです。
- 外資系企業
- 商社
- 観光業界
- IT企業
「TOEIC800点=ビジネスレベルの英語が堪能である」と認識する企業が多いため、転職活動における書類選考や面接試験で強力なアピール材料になるでしょう。
結果として、他の応募者と差別化を図ることができ、希望する仕事や企業への転職を成功させる可能性を高めることにつながります。
外資系企業など転職活動で企業選びの幅が広がる
「外資企業」と一口に言っても、業界や職種によって求められる英語力は大きく異なります。
たとえば、外資系金融や商社であれば高い英語力が求められますが、アパレルや製薬メーカーの場合は業務で英語を使用することがほとんどありません。
しかし、TOEIC800点を取得すると高い英語力があることの証明になるため、これまで「英語力がないから…」と諦めていた企業にも応募することが可能です。
つまり、転職活動において企業選びの幅が広がるため、自分に合った仕事を見つけやすくなります。
外資系企業で求められる英語力のレベルについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もお読みください。
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公務員試験で優遇される
TOEIC800点を取得できれば、下記のようにさまざまな公務員試験で優遇措置を受けることが可能です。
TOEICで優遇措置を受けられる公務員試験 | 内容 |
国家公務員採用総合職試験 | 英語試験のスコア等を有する受験者には、最終合格者決定の際に、スコア等に応じて総得点に15点または25点を加算される。(TOEIC 600点以上で15点、730点以上で25点の加算) |
自治体職員採用試験 | 各都道府県や政令指定都市が実施する職員採用試験においてもTOEICスコアの活用が広がっており、基準となるスコアを提出することで主に加点対象となる。>> 詳細はこちらへ |
警察官採用試験 | 全国で7割の都道府県の採用試験において、TOEICスコアが活用されており、基準となるスコアを提出することで加点対象になる。>> 詳細はこちらへ |
教員採用試験 | 中学・高校の英語教員のみならず、他教科の教員や小学校教員を目指す者であっても自治体によってはTOEICのスコア次第で加点対象になったり、1次試験の免除が行われたりする。>> 詳細はこちらへ |
参考:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会「公務員試験に役立つTOEIC ® Program」
社会人は仕事が忙しいため、公務員に転職する場合は勉強時間を捻出するのが難しいものです。
しかし、上記のような優遇措置を受けられると、試験対策の負担が軽減できるとともに、合格に近づきやすくなります。
年収アップが目指せる
TOEIC800点を取得すると、年収アップが目指せる可能性が高いです。
たとえば転職活動の場合、就職活動とは異なってスキルや経験などで待遇の交渉ができます。
つまり、TOEIC800点が待遇交渉の材料となって、年収アップの可能性もあるということです。
また、下記のように、昇進や昇給の基準としてTOEICのスコアを設定している企業も多いです。
【TOEIC800点以上を昇格・昇進あるいは海外赴任の条件に設定している企業】
TOEICスコア | 昇格・昇進 | 海外赴任 |
800点以上 | ・韓国サムスン(既存社員)・日立製作所(経営幹部)・三井住友(総合職全員の努力目標)KDDI(事務・技術職配属、異動)・サイバーエージェント(海外部門) | ・日本マクドナルド |
830点以上 | 京葉銀行(人事評価に反映) | |
860点以上 | ・富士通(海外出張)・三菱商事(社内留学) | |
920点以上 | 韓国サムスン(中核人材A級・課長) |
出典:English Innovations「採用・昇進時に求められる基準、TOEICスコアは何点?スコア別企業一覧【まとめ】」
海外赴任や海外駐在も、年収アップする可能性が高いです。
TOEIC800点取得にかかる勉強時間は?
TOEIC800点を取るために必要な勉強時間は、受験者の現在の英語力によって異なります。
Oxford University Pressの”A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success”によると、TOEIC850点を取得するためにかかる勉強時間の目安は、以下の通りです。
- 現在のスコアが250点の場合:1,450時間
- 現在のスコアが350点の場合:1,225時間
- 現在のスコアが450点の場合:975時間
- 現在のスコアが550点の場合:725時間
- 現在のスコアが650点の場合:500時間
- 現在のスコアが750点の場合:275時間
TOEIC850点を目標とした場合であるため、800点より少しハードルが高いものの、数値として参考にはなるでしょう。
現在TOEIC450点の人が、1日3時間の勉強をおこなう場合、850点に到達するのは325日と、およそ1年の時間が必要になります。
1日3時間の勉強は難しそうだと感じるかもしれませんが、忙しい社会人でもスキマ時間を有効活用すれば意外と確保できるものです。
ただし、限られた時間のなかでTOEIC800点という高い目標を達成するには、リスニング・リーディングそれぞれで求められる能力を効率よく身につける必要があります。
費用をかけたくないからと独学にこだわってしまうと、結局時間も費用も多くかかってしまうことがあるので注意しましょう!
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TOEIC800点を取得するための勉強法
ここでは、TOEIC800点を取るための具体的な勉強法として、以下5つのポイントを解説します。
- TOEIC頻出単語をマスターする
- 苦手パートをなくす
- 長文のリスニングに慣れる
- リーディングスピードを上げる
- TOEICの出題形式に慣れる
順番に見ていきましょう。
TOEIC頻出単語をマスターする
TOEICに限らず、英語学習のカギになるのが語彙力です。
リスニングやリーディングの際、なじみのない単語が出てくればそれだけで正解するのが難しくなるでしょう。
特にTOEICはビジネスシーンを題材とした問題が多いため、覚えるべき英単語がある程度絞られてきます。
「必要な単語数は8,500語程度」でも説明しましたが、800点以上を目指すのであれば、TOEIC対策用の単語帳を使って8,500語覚えましょう。
また、単語を覚える際には、ただ和訳を覚えるだけでなく、リスニングの際にも瞬時に理解できるよう発音も含めてマスターしておくのが理想です。
音声付きの単語帳を使って何度も繰り返し学習し、瞬時に意味を理解できるレベルに引き上げましょう。
苦手パートをなくす
TOEICで800点以上を目指すなら、大きな取りこぼしは避けたいところです。
得意な部分を伸ばすことも大切ですが、800点という高得点を達成するにはバランスのよい英語力が求められます。
特定のパートで大きくスコアを落とせば、その他のパートでの挽回が難しくなります。
スコアが伸び悩んでいるパートがある場合は、重点的に対策して克服しておきましょう。
まずは、リスニングとリーディングに分けて、どちらのほうが伸びしろがあるか把握することが大切です。
模試などを解いて想定スコアを算出し、大きくスコアを取りこぼしているパートがないかチェックしましょう。
長文のリスニングに慣れる
TOEIC800点を目指すなら、長文のリスニング問題が出題されるPart3やPart4でもしっかり得点していく必要があります。
学校教育ではリーディングに比重が置かれる傾向があったため、リスニングに苦手意識を持つ方も多いでしょう。
日頃から長文のリスニングをおこない、1度でしっかり聞き取る力をつける必要があります。
下記は、英会話の5ステップをまとめたものです。
このなかでリスニングは「音声知覚」と「意味理解」の2つのステップに分けられ、どちらもできるようになることでリスニング力が向上します。
自分がどちらのステップでつまずいているのかを理解すること、そして弱点の克服に適切な方法で学習することが大切です。
英会話のステップ | 英語の技能 | 内容・特徴 |
音声知覚 | リスニング | 英語の音声を聞いて、聞こえてきた単語やフレーズを認識する段階 |
意味理解 | リスニング | 聞こえてきた英語の単語やフレーズ、そして文章の意味を理解する段階 |
リスニングが苦手という方は、音声を聞き取るための「音声知覚」に集中してしまい、聞こえた内容の「意味理解」にまで至っていないケースが多く見られます。
長文のリスニング問題で正解するためには「音声知覚」は無意識レベルで行い、脳のワーキングメモリの多くを、「意味理解」に割く状態にすることが理想的です。
「音声知覚」を無意識におこなうためには、個々の発音を聞き取るのはもちろん、単語同士がくっついて生じる「リンキング」や「リダクション」といった音声変化のルールも体得しておく必要があります。
英語の発音やリズムの習得に効果的な勉強法としては、「シャドーイング」が挙げられます。
シャドーイングとは、音声を聞いたあとに少し遅れてマネをするトレーニングです。
聞いた直後にマネをすることで、英語特有の発音やリズムに近づけることが可能になり、脳内にさまざまな音声パターンが蓄積されていきます。
自分でマネができるほど慣れ親しんだ音やリズムであれば、無意識レベルで自然に聞き取ることが可能です。
TOEICのリスニングでは、長文のアナウンスやナレーションも1度で聞き取る必要があります。
「音声知覚」を無意識レベルで処理し、「意味理解」に集中することで長文のリスニング問題もしっかり得点できるようになるでしょう。
音声知覚と意味理解の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
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リーディングスピードを上げる
TOEICのリーディング問題では、時間が足りずにスコアが伸び悩む受験者が少なくありません。
TOEIC800点を取るためには、時間内ですべての問題を解き終わるようにリーディングのスピードを上げる必要があります。
そのためには、英文を読み進めては戻って和訳する「返り読み」ではなく、英語の語順のまま理解できるようになることが大切です。
英語を語順通りかつスピーディーに読むためにも、前述のシャドーイングは効果的です。
シャドーイングは英語の音声をそのままマネするトレーニングであるため、聞こえてきた順番に英語を理解する必要があります。
TOEICの問題集や単語帳などの音声を使ってシャドーイングを繰り返せば、TOEIC特有の文章に触れながらリスニング力とリーディング力を同時に鍛えられるでしょう。
文章が長い場合はいきなりシャドーイングするのではなく、まずは知らない単語やイディオム、構文などを確認することで内容を理解しましょう。
文章の意味や構造をしっかり理解したうえでシャドーイングを繰り返せば、知識がより深く定着します。
さまざまな文章構成のパターンに慣れることで、リーディングスピードは大きく向上するはずです。
TOEICの出題形式に慣れる
TOEICの出題形式は毎回同じであるため、問題構成に慣れることである程度のスコアアップが可能です。
リスニングセクションは約45分間で100問、リーディングセクションは75分間で100問解く必要があります。
リスニングセクションはPart1からPart4、 リーディングセクションはPart5からPart7となっており、各パートの問題数や出題内容は、下記のとおりです。
Part | 問題の種類 | 問題数 | 詳細 |
1 | 写真描写問題 | 6問 | 1枚の写真について放送される4つの短い説明文のうち、写真を最も的確に描写しているものを選ぶ。 |
2 | 応答問題 | 25問 | 1つの質問または文章とそれに対する3つの答えが放送される。設問に対して最もふさわしい答えを選ぶ。 |
3 | 会話問題 | 39問 | 2人または3人の人物による会話が放送される。問題用紙に印刷された設問と回答を読み、4つの答えのなかから最も適当なものを選ぶ。 |
4 | 説明文問題 | 30問 | アナウンスやナレーションのようなミニトークが放送される。問題用紙に印刷された設問と解答を読み、4つの答えのなかから最も適当なものを選ぶ。 |
5 | 短文穴埋め問題 | 30問 | 不完全な文章を完成させるために、4つの答えのなかから最も適当なものを選ぶ。 |
6 | 長文穴埋め問題 | 16問 | 不完全な文章を完成させるために、4つの答えのなかから最も適当なものを選ぶ。各長文には設問が4問ずつある。 |
7 | 1つの文書・複数の文書 | 54問 | さまざまな文書が印刷されている。設問を読み、4つの選択肢の中から最も適当なものを選ぶ。各文書には設問が数問ずつある。 |
参考:TOEIC「テストの形式と構造」
特にリスニングのPart3とPart4については、問題文を先に読むことで内容を予測するといったテクニックでスコアを伸ばせます。
このようなテクニックを使いこなすには出題形式に慣れておくことが必要です。
公式問題集などを使ってしっかり練習しておきましょう。
【分野別】TOEIC800点を突破するためのおすすめ参考書
次に、TOEIC800点を突破するためにおすすめの参考書を、下記の5つの分野に分けて紹介します。
- 単語
- 文法
- 長文読解
- リスニング
- 予想問題・模擬テスト
問題集や参考書選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
【単語】『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』
出典:朝日新聞出版
本の長さ | 288ページ |
出版社 | 朝日新聞出版 |
発売日 | 2017年1月6日 |
価格(税込) | 979円 |
『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』は、TOEICテストを受験し続けて何度も満点を取得している著者が、過去問を徹底的に分析し厳選した頻出単語をまとめた単語帳です。
下記の4つのレベルに分かれているため、目標とするスコアに合わせて学習することができます。
- 600点
- 730点
- 860点
- 990点
全問無料音声付きでスマホに対応しているため、通勤中やランチタイムなどのスキマ時間を活用してリスニングの勉強をすることも可能です。
>> 『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ
【文法】『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』
出典:アスク出版
本の長さ | 656ページ |
出版社 | アスク出版 |
発売日 | 2017年6月10日 |
価格(税込) | 2,530円 |
『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』は、これまでに累計部数50万部を突破するベストセラーのTOEICの文法対策本です。
文法問題が1,049問も収録されているため、かなりボリュームがあります。
解説は非常に丁寧で、正解の選択肢だけでなく他の選択肢がなぜダメなのかという点についても詳しく説明しているので、納得しながら問題に取り組めます。
左ページには問題、右ページには解説という見開きの構成になっているため使いやすいです。
>> 『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ
【長文読解】『1駅1題 TOEIC L&R TEST 読解特急(TOEIC TEST特急シリーズ)』
出典:朝日新聞出版
本の長さ | 336ページ |
出版社 | 朝日新聞出版 |
発売日 | 2017年5月30日 |
価格(税込) | 968円 |
『1駅1題 TOEIC L&R TEST 読解特急(TOEIC TEST特急シリーズ)』は、特急シリーズ累計210万部突破のベストセラー本です。
Part7の設問が127問分収録されています。
片手で収まるサイズであるため、通勤の電車やバスの中で読みやすいです。
英文を音声収録してあるため、リスニングの勉強にも活用できます。
また、効率の良い解き方についても説明されているので、読み終わる頃にはPart7を制限時間内にサクサク解けるようになっているでしょう。
>> 『1駅1題 TOEIC L&R TEST 読解特急(TOEIC TEST特急シリーズ)』についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ
【リスニング】『公式TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編』
本の長さ | 216ページ |
出版社 | 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 |
発売日 | 2017年6月23日 |
価格(税込) | 2,200円 |
『公式TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編』は、TOEICテストを開発しているETSが制作した参考書です。
公式スピーカーによる音声が収録されているため、実践的な作りになっています。
問題数も372問と数が多いため、この1冊に取り組むだけでもかなりの力がつくことが期待されます。
音読やシャドーイングに活用してください。
>> 『公式TOEIC Listening & Reading トレーニング リスニング編』についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ
【予想問題・模擬テスト】『公式TOEIC Listening& Reading 問題集11』
出典:Amazon
本の長さ | 312ページ |
出版社 | 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 |
発売日 | 2024年7月17日 |
価格(税込) | 3,300円 |
『公式TOEIC Listening& Reading 問題集11』は、TOEIC受験者全員が必携のテキストです。
この本はTOEICを開発したETSが制作したテキストで、本番と全く同じプロセスで制作されたテスト2回分(計400問)が収録されています。
問題用紙のサイズも、リスニングの音声も全て実際の試験と同じです。
スコアの目安も分かるため、受験前に目標とするスコアを達成できるのかある程度把握することができます。
>> 『公式TOEIC Listening& Reading 問題集11』についてさらに詳しく知りたい方はこちらへ
転職活動でTOEICを活用する際に注意すべき点
転職活動でTOEICを活用する際には、下記の3点に注意しましょう。
- 履歴書には2年以内に取得したスコアを記載すること
- 面接ではスコアをアピールしないこと
- スピーキングやライティングの勉強もしておくこと
本章では、それぞれの注意点について詳しく解説します。
履歴書には2年以内に取得したスコアを記載すること
TOEICのスコアに有効期限は設けられていませんが、どれほどハイスコアであってもその取得日がかなり前のものであった場合、転職活動でアピール材料にならないことがあるため注意してください。
理由は、企業が知りたいのは「現在の英語力」であって、かなり前のスコアを記載してしまうと「今の英語力はどうなんだろう?」と疑問に思われてしまう可能性が高いからです。
そのため、TOEIC認定証の再発行期限である2年以内のスコアを履歴書に記載することをおすすめします。
面接ではスコアをアピールしないこと
TOEIC800点などの高スコアを取得すると、転職活動の面接でアピールしたいと考えてしまいがちですが、それはおすすめではありません。
面接ではあえてTOEICの話題に触れずに、前職で身につけた知識やスキル、経験について触れたほうが多角的に自分をアピールでき、結果として面接の内容が充実するからです。
履歴書にTOEICのスコアを記載しておけば、面接でわざわざ伝えなくても企業はしっかりと把握しています。
TOEICのスコアについて興味があれば、相手から話題を振ってくるでしょう。
転職活動の面接では、あえて自分からTOEICのスコアをアピールしないことをおすすめします。
スピーキングやライティングの勉強もしておくこと
「TOEICのスコアが高い=ビジネス英語も完璧である」というわけではないため、注意してください。
それは、TOEICは基本的にリーディング力とリスニング力だけを測る試験だからです。
実際のビジネスシーンには、下記のようにライティング力やスピーキング力も求められます。
- 英語メールを書く
- プレゼンテーション資料を作成する
- 会議で発言する
- 電話応対をする
- 取引先と交渉する
ライティングやスピーキングの力が不足していると、実際に業務を行う際に苦労する可能性が高いです。
英語の4技能をバランスよく学習するよう心がけましょう。
スピーキングやライティングの勉強法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
TOEICの勉強が続かない場合は
TOEIC学習のあるあるとして、なかなか学習が続かないということが挙げられます。
慣れない英語学習や、英語学習の伸びを感じられないのでモチベーションの維持が難しいなど。
その際に、学習を習慣化させることが必要です。
習慣化の3ステップを取り入れる
プログリットでは、行動経済学の観点から学習の習慣化に対して3つのステップを提唱しています。
具体的に以下の3つを繰り返し行うことが求められます。
- トリガー(=行動が生じるきっかけ)
- 行動(=目標とする行動)
- 報酬(=行動によって得られるもの)
「トリガー」とは行動が生じるきっかけで、日常の小さな習慣や特定の場所・時間がこれに該当します。
次に、「行動」は目標とされる具体的な行為であり、心理的・物理的・知識的な障壁が少ないほど、特定の行動を継続させやすくなります。
「報酬」は行動を続ける動機付けとなるもので、直接的かつ多面的な報酬が効果的です。
これらのステップを英語学習に適用することで、習慣化を促進し、より効率的に目標を達成することができます。
この「習慣化の3ステップ」に関して、下記の記事ではさらに詳しく解説をしております。
具体的に3ステップを英語学習の継続にどう繋げるかを知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
TOEICの勉強をどこから始めるべき
「TOEICの勉強方法は理解できているものの、行動に移せない」
「何から勉強を始めるべきかわからない」
このような疑問や悩みを持つ方に、英語コーチングをおすすめします。
英語コーチングとは、学習計画の作成や進捗管理によって学習を導く指導方法。
自分の弱点を重点的にトレーニングするためには、ただ学習時間を多くするだけでなく学習の生産性を高めることが重要です。
コーチングによって学習方法を提案してもらうことで学習生産性が高い効率的な方法で勉強できるので、短期間で英語力を高めることが可能です。
英語コーチングスクールのなかには、「TOEICコース」のように試験対策コースがあるところもあります。
英語コーチングには、下記のようにさまざまなメリットがあります。
- 自分に合った最適な教材や学習計画を提供してもらえる
- 学習方法について都度相談できるので挫折しにくい
- 目標達成までコーチやメンターが伴走してくれる
費用がかかってしまうことがデメリットではありますが、独学でも小さな費用が積もり積もって結局数十万円の大きな金額を費やしてしまうケースも少なくありません。
勉強への覚悟を決めるという意味でも、最初に投資するのはいい選択肢ではないでしょうか?
「プログリット」では英語コーチングサービスを提供しています。
TOEICの学習をどう始めたらいいのかわからない、勉強しているけど伸び悩みを感じているなど、勉強方法についてお困りごとがあるなら、語学学習のプロによるコーチングで効率的に英語を身につけてみませんか?
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まずは無料でカウンセリングが受けられるので、ぜひお気軽にお申し込みください。
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TOEIC800点を目指してみよう
本記事では、TOEIC800点を取るために必要なリスニング・リーディングのレベルを解説するとともに、他の英語資格と比較しました。
また、TOEIC800点を取得するための勉強時間の目安や効率的な学習方法などについてもご紹介しました。
TOEIC800点を取得するには、リスニング・リーディングともに高いレベルが求められるものの、記事内で解説した通りネイティブレベルの英語力が求められるわけではありません。
シャドーイングなどのトレーニングを繰り返し、リスニングにおける「音声知覚」を無意識におこなう力や、リーディングにおける「英語を語順通りに読む力」を鍛えれば、十分到達できる目標だといえるでしょう。
TOEIC800点を取得すれば、転職活動やキャリアアップに活かせる可能性が高いため、今後の人生においてプラスになるはずです。
ただし、まだ英語学習を始めたばかりの方や、少し伸び悩みを感じている方は、TOEIC800点という高い目標にたどり着けるのか不安になるかもしれません。
効率的かつ着実に英語力を身につけたいのであれば、語学学習のプロによるコーチングがおすすめです。
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