「英会話を上達するためには、リスニングとスピーキングの勉強に力を入れれば十分なの?リーディングは英会話に関係ないでしょ?」
「英会話を上達できるおすすめの勉強法は?何をしても英語力が上がらない」
英会話の力を向上させようと頑張っている学習者の中で、このような悩みや疑問を抱えている人はいませんか?
英語には下記の4つの技能がありますが、実は「リーディング力」も英会話力向上のカギを握っているのです。
- リーディング
- リスニング
- ライティング
- スピーキング
この記事では、リーディング力が英会話力と結びついている理由、そして英会話力の向上につながるリーディングの学習方法について詳しく解説します。
英会話力の向上に伸び悩んでいる方は必読です!
英会話上達のためにはリーディング力上達が必要である
冒頭でもお伝えしましたが、英会話力を向上させるためには、リスニング力やスピーキング力を上げることはもちろんですが、リーディング力を向上させることも大切です。
そもそも英語の4つの技能はそれぞれ独立したものではなく、リンクしています。
実は、ライティングのスキルが高く、瞬時に英作文ができると、スピーキングにおいてもスムーズに口から英語が出てくるようになるのです。
ここでは、「英会話ができるようになるまでの5ステップ」について説明し、そのステップにリーディングの学習がどのように影響を及ぼすのか詳しく解説します。
英会話の5ステップ
「英会話」を構成するプロセスは大きく2つに分かれ、それぞれ「リスニングパート」と「スピーキングパート」に分かれます。
そして、この2つのパートをさらに細分化したものが、プログリットが提唱する英会話の5ステップです。
【英会話の5ステップ】
- 音声知覚
- 意味理解
- 概念化
- 文章化
- 音声化
英会話を上達させるためには、自分がどのプロセスでつまずいているのかを正しく把握し、苦手を克服するために適切な学習方法に取り組むことが必要になります。
まずは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
STEP1: 音声知覚
「音声知覚」とは、英語の音を聞いて何の単語なのか脳が知覚するプロセスのことです。
音声知覚は下記の2つのプロセスに分かれます。
- 耳で英語の音をキャッチする
- 脳内の知識データベースの中から、聞こえてきた英語の音が何の単語であるのか判断する
たとえば、「グッナイ」という英語の音を聞いて”Good night.”に頭の中で置き換えるといった具合です。
音声知覚はリスニングの第一歩、さらには英会話の第一歩と言えるステップで、このステップにつまずいていると、次のステップができません。
音声知覚につまずいている場合は、下記のいずれかが原因です。
- 単語や文法の知識が不足している
- 聞こえてきた英語の音を英単語に置き換えるスピードが遅い
これらの弱点を克服するためには、下記の学習をおすすめします。
- 語彙力の強化や英文法の学習
- 「英語の音声変化」についての学習
- シャドーイング
STEP2: 意味理解
「意味理解」とは、聞こえてきた英語の文章の意味を理解するプロセスのことです。
前項でも紹介しましたが、「グッナイ」から”Good night.”に変換するのが音声知覚で、そこからさらに”Good night.”=「おやすみ」であることを理解することが意味理解にあたります。
「リスニングをしていて、単語は思い浮かべられるもののその意味が分からない」という人は、意味理解が弱点です。
そして、意味理解の弱点を克服するのに、「リーディング力の強化」が効果的です。
具体的な「リーディング力の強化」方法や、リーディングが英会話力の向上に役立つ理由については後述します。
STEP3: 概念化
このステップからスピーキングに移ります。
「概念化」とはSTEP1とSTEP2で聞き取れた英語に対して、何を言おうか頭の中で考えるプロセスのことです。
概念化が苦手な人には、難しく考えすぎているという共通点があります。英語を話すときに、母国語である日本語で考えてしまう癖はありませんか?
日本語で考えてしまうと、「憂鬱」「激怒する」のように難しくて複雑な表現や語彙が出てきてしまうものです。
そして、そのような複雑で難しい表現を英語で置き換えるのは簡単なことではありません。
概念化が苦手な人は、自分の意見や気持ちをできる限り、下記のように簡単でシンプルな表現に置き換えてみましょう。
- 「憂鬱」→「ブルーな気分」「悲しい」
- 「激怒する」→「かなり怒る」
小学校低学年の子どもに話しかけるイメージで考えるとわかりやすいですよ。
STEP4: 文章化
「文章化」とは、STEP3で概念化された内容を英語の文章に置き換えるプロセスのことです。
文章化が苦手な人には、普段の英語学習の中で身につけた単語や文法の知識をアウトプットする機会が少ない、あるいは全くないという特徴があります。
「身につけた知識」は必ずしも「使える知識」ではありません。
つまり、覚えた単語や文法の知識は、英語を話したり書いたりするときに必ずしもパッと出てくるものではないということです。
「身につけた知識」を「使える知識」にするためには、下記のような学習方法で知識をアウトプットする習慣をつけることをおすすめします。
- 語彙力を増やす
- 瞬間英作文をする
- オンライン英会話を受講する
それぞれの学習方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてお読みください。
STEP5: 音声化
そして、最後に「音声化」とは、STEP4で文章化した英語の文章を口に出して音にするプロセスのことです。
音声化が苦手な人には、英語の正しい発音や音声変化を理解できていないという特徴があります。
下記の学習を通じて、音声化の苦手克服に努めましょう。
- 正しい英語の発音のやり方や英語の音声変化についてのルールを学ぶ
- シャドーイングをする
- 英語を読み上げる際には常に自分の声を録音して発音を確認する癖をつける
英語の音声化がしっかりとできるようになると、相手に自分の英語が確実に伝わるようになるだけでなく、リスニング力の向上にもつながります。
それぞれの学習方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をあわせてお読みください。
意味理解の力を伸ばすにはリーディング力強化のトレーニングが効果的
意味理解をできるようにするためには、リーディング力を強化させることが必要であることを説明しました。
意味理解を伸ばすのに効果的なリーディング強化法は「多読」です。
「多読」とは、簡単な英語で書かれた文章をたくさん読み込む学習方法のことを指します。
多読を通じて、英語の文章を英語の語順で理解することができるようになるでしょう。
そして、多読トレーニングを重ねるほど、英文の読解スピードが上がり、結果として意味理解の力が向上することにつながるのです。
多読が意味理解力に必要な理由
英語は下記の4つの技能に分かれ、それぞれの技能はリンクしているということを説明しました。
- リーディング
- リスニング
- ライティング
- スピーキング
そして、これらの4つの技能は下記の2つのスキルに分けられます。
スキル | 技能 | 意味・特徴 |
受容スキル | ・リスニング・リーディング | 内容を理解する能力のこと |
産出スキル | ・スピーキング・ライティング | 自ら英語を生み出す能力のこと |
「リスニング×スピーキング」「リーディング×ライティング」とセットで考えられがちですが、「リスニング×リーディング」、あるいは「スピーキング×ライティング」が正しい組み合わせです。
そして、この正しい組み合わせで学習することによって、英会話を上達させることができます
これでお分かりいただけましたか?
リーディング力の強化は英会話を理解する力の向上につながっており、この意味理解の強化に「多読」トレーニングが非常に効果的であるということです。
多読のやり方
前章では、英会話のプロセスの1つである「意味理解」の力を向上させるためには、多読が効果的な学習方法であることを説明しました。
しかし、多読にもやり方があり、正しいやり方で学習しないと効果を最大限に引き出すことができません。
下記のステップで取り組むようにしてください。
- 教材を設定する
- 目標を設定する
- 実際に読む
- 目標を振り返る
ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
これらのステップを順々に踏むことで、短期間で効率的に意味理解の力を向上させることができるでしょう。
英会話の意味理解に弱点がある人は必読です!
STEP1: 教材を設定する
多読トレーニングの目的は、「大量のインプットを通じて、英語を左から右へと英語の語順で理解できるようになること」です。
そのため、多読に使用する教材を選ぶ際には、「自分が知らない単語が1ページに1〜2個程度の少し易しいと感じるレベルの教材」を選びましょう。
自分の英語レベルより少し易しいレベルの英文を大量に読むことで、難しい単語やフレーズに気を取られることなく英文を英語の語順で理解できる力を養成します。
多読におすすめの教材は「ラダーシリーズ」です。
「ラダーシリーズ」とは、IBCパブリッシング社から出版されている洋書で、下記のように英語力に合わせて5つのレベル別に分かれています。
Level 1 | Level 2 | Level 3 | Level 4 | Level 5 | |
使用語彙数 | 1,000語 | 1,300語 | 1,600語 | 2,000語 | 制限なし |
TOEICスコアの目安 | 300〜400点 | 400〜500点 | 500〜600点 | 600〜700点 | 700点以上 |
英検取得級の目安 | 英検4級 | 英検3級 | 英検準2級 | 英検2級 | 英検準1級以上 |
iTEPの目安 | 0.0〜1.0 | 1.0〜2.0 | 2.0〜3.0 | 3.0〜4.0 | 4.0以上 |
タイトル数は100以上あり、小説から伝記・フィクションまでさまざまなジャンルがあるため、あなたの興味関心に合った本が必ず見つかるでしょう。
なかには、音声データをダウンロードしてリスニング教材として活用できる本もあります。
STEP2: 目標を設定する
次に目標を設定します。
意味理解力を向上させることを目的としているため、英語の意味理解のスピードを上げることが目標です。
自分の成長を可視化することができ、さらには学習のモチベーションも上がるため、WPM(Words Per Minute)という指標を活用することをおすすめします。
WPMとは「1分間に読める単語数」という意味で、下記のように算出します。
WPM=単語数÷文章を読むのにかかった時間
定期的にこの数値を測り、エクセルシートなどに記録しましょう。
目標を設定する上で、 WPM150〜180が一つの目安になります。
それは、WPM150はTOEICのリスニング問題の平均であること、そしてネイティブスピーカーのビジネス会議におけるWPMが180程度であることが理由です。
最初は英文を読むのに時間がかかり、目標とするWPMに及ばないかもしれません。
しかし、そこで諦めるのではなく、継続的に多読トレーニングを続けていくことでWPMの数値が向上していくでしょう。
STEP3: 実際に読む
次に実際に多読を始めます。
多読をする際には時間を測りながら読むようにしてください。
英文を完璧に100%理解しようとするのではなく、英文全体の80%程度の内容を理解できるスピードで読んでいきましょう。
イメージとしては、英文の要点を掴むことができて、あらすじを説明できるほどのスピードです。
1日の中で多読にかける時間についてですが、慣れないうちは無理のない範囲で少しずつ読めるようにして習慣化させましょう。
慣れてきたら、通勤時間や就寝する前の時間などを活用して少しずつ読む時間を増やしていきましょう。
また、「読みにくい」あるいは「面白くない」と感じたら、その本を読むのをやめて次の本を探して構いません。
習慣化させるためには、「楽しい」と感じられることがポイントです。
洋書の多読が趣味になったら理想ですね。
STEP4: 目標を振り返る
STEP3で、多読をしながら時間を測ることを説明しました。
英文を読む際に計測した時間をエクセルシートなどに記録し、どれほど自分がスムーズに英文を読めるようになったか振り返ってみましょう。
また、ラダーシリーズやペンギンリーダーズなど、英語のレベルごとに分かれている教材を多読に使用している場合は、ある程度自分が取り組んでいるレベルの洋書をスラスラと読めるようになったら、次のレベルにステップアップしてみても良いかもしれません。
次のレベルの洋書に目を通してみて、1ページに知らない単語が1〜2個程度の少し易しいと感じる程度であれば、あなたに適したレベルであるということです。
多読の際に気をつけること
前章で、多読トレーニングのやり方について詳しく紹介しました。
しかし、多読トレーニングにはコツや注意点があります。
下記の点に留意しながら多読を行うことで、学習効果をさらに高めることにつながるでしょう。
- 興味のある題材や文章を選ぶ
- 返り読みをしない
- わからない単語があっても辞書をひかずに読む
- アウトプットの機会を作る
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
興味のある題材や文章を選ぶ
多読トレーニングに使用する教材を選ぶ際には、自分の英語レベルに合ったものを選ぶと同時に、自分が興味のあるトピックの英文や本を選ぶことが大切です。
多読のトレーニング効果を感じるまでには、大量の英文を読む必要があるため時間がかかります。
学習効果が出るまでに飽きたり挫折しないようにしたりするためにも、「楽しい」と感じられる学習方法にする必要があるでしょう。
興味あるトピックの英文や本を選ぶことで、学習のモチベーションを維持させやすくなります。
また、興味のあるジャンルやトピックであれば、基礎知識や背景知識などもあるため、英文であっても比較的スムーズに読みやすいと感じられるかもしれません。
返り読みをしない
「返り読み」とは、英文を一度最後まで目を通して、英文の最後から訳し上げていく読み方のことを指します。
日本語と英語は文法的な構造がかなり異なり、日本語のやり方で英文を解釈しようとすると、どうしても英文の最後から最初に向かって訳し上げる読み方になりがちです。
しかし、このような読み方をすると時間がかかってしまうとともに、「返り読み」が一切できない英会話で太刀打ちできなくなってしまいます。
また、返り読みをしてしまうと、ストーリーの内容よりも英文の文章構造に注目してしまい、内容に集中できなくなることも考えられます。
多読トレーニングをする際には、返り読みをすることなく、英語の文章を英語の語順で読み進めるように心がけましょう。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、徐々に慣れていくため安心してください。
英語初心者の方が英語の多読にチャレンジする場合は、返り読みをしないように、英文を語句の塊ごとにわけて「/」(スラッシュ)を入れながら読むスラッシュリーディングをおすすめします。
スラッシュリーディングのやり方
下記の英文をご覧ください。
例
A 15-year-old boy in Japan was able to invent a device that could provide electricity to the house he was staying with his family.
という英文があったとします。
この英文の意味は下記のとおりです。
「日本に暮らす15歳の男の子が、家族とともに暮らす家に電気を供給できる装置を発明することができました。」
この訳文を作ろうとすると英文を後ろから前に訳していくことが必要です。
しかし、スラッシュリーディングを使うと、下記のように語句を塊でまとめて読み下す形で英文を読むことになります。
例
A 15-year-old boy / in Japan / was able to / invent a device / that could provide electricity / to the house / he was staying with his family.
15歳の男の子が / 日本の / 〜できた/ 装置を発明する / 電気を供給できる / 家に / 家族とともに過ごしている
多読で英文を読む際には美しい訳文は不要で、大まかな意味を捉えていれば問題ありません。
そして、スラッシュリーディングができるようになることで、英文を英語の語順で理解できるようになり、英会話にも応用できるようになります。
スラッシュリーディングのやり方についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読みください。
わからない単語があっても辞書をひかずに読む
多読では「英文の意味や内容を大まかに捉える」ことが重要であることから、英文を読んでいる際にわからない単語があっても辞書を引かずに読み進めるように心がけてください。
分からない単語に遭遇するたびに逐一辞書を引いて意味を調べてしまうと、スムーズに読み進めることができません。
スムーズに読み進めることができないと、本のストーリーや英文の内容を楽しみながら読めないため、やがて多読を苦痛に感じてしまい最終的には挫折につながる恐れがあります。
そして、多読に挫折してしまうとリーディングに苦手意識を持ってしまい、結果として英会話の意味理解の力を向上させることができなくなってしまうでしょう。
また、分からない単語を飛ばして読み進めることで、スムーズに英文を読めるだけでなく、文脈から意味を推測して英文を読めるスキルが身につけられます。
このスキルは、TOEICや英検などの読解問題でも非常に役に立つスキルです。
洋書や英文を読んでいて、あまりにも分からない単語やフレーズが多い場合は、その英文があなたの英語レベルに合っていない可能性があります。
その場合は、もう少しレベルを下げることを検討してみてください。
アウトプットの機会を作る
多読は英文を大量に読み込むインプットの学習で、英会話における意味理解のスキルを向上させるのに効果的な学習方法であることを説明しました。
しかし、下記のようなアウトプット的な学習方法と同時並行で行うことで、英語の4技能をバランスよく育成することができます。
- 多読を通じて身につけた単語やフレーズをオンライン英会話などスピーキング練習で活用することで、完全定着を図る
- 多読で読んだ洋書や英文記事の要約や感想を英語で書くことで新たに身につけた単語やフレーズの定着を早めることができる
課題に合わせた勉強法の設定の必要性
今回の記事では、意外にもリーディングの学習が、英会話力を上達させることにつながることを紹介しました。
このように、課題や目的に合わせて必要となる勉強法は異なります。
だからこそ、自分が抱えている課題をしっかりと把握して、その課題に合った正しい勉強法や計画を立てることが必要なのです。
しかし、課題の把握や、それに見合った正しい勉強法の選択は英語初心者〜中級者にとって簡単なことではありません。
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今度こそあなたの英語力を伸ばしましょう。
まとめ
英語のリーディング力と英会話における意味理解に相関関係があります。
そして、英会話における意味理解力を向上させる方法として効果的なのが「多読」トレーニングです。
正しく多読を行うことで、学習効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
下記のステップで学習してください。
- 教材を設定する
- 目標を設定する
- 実際に読む
- 目標を振り返る
また、下記の点に留意しながら多読トレーニングを行うことで、楽しくかつ継続的に学習を進められるはずです。
- 興味のある題材や文章を選ぶ
- 返り読みをしない
- わからない単語があっても辞書をひかずに読む
- アウトプットの機会を作る
プログリットではマンツーマンのコーチングサービスを通じて、多読やスピーキング、リスニングなどあなたの学習レベルやニーズに合わせて、バランスの良い学習計画を立案します。
英語のプロが立案したオーダーメイドの学習計画に沿って勉強することで、確実に英語力を向上させることが期待できるでしょう。
無理なく、かつ無駄なく英語力を身につけられるため、短い期間で効率的に英語力を伸ばしたいという方は一度ご相談ください。
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