ビジネスシーンでの実践的な英語力を測定できるとして、近年注目を集めているVERSANT®。この記事では、そんなVERSANTスコアを見る上での目安について、日本人の平均スコア、海外赴任に必要なスコアなどを交えてご紹介していきます。
VERSANTスコアの目安を知りたいあなたへ
近年、ビジネスシーンでの英会話力を測るための試験として注目されているVERSANT®(以下、VERSANT)。
しかし、いざVERSANTで30点や45点というスコアが出たとしても、そのスコアがどれくらいの英語力を意味しているかという目安を知っている方は、多くはないのではないでしょうか。
この記事では、VERSANTスコアの目安やスコア別の勉強法について、詳しくご紹介していきます。
なお、VERSANTの詳しい対策法やおすすめ教材については、以下↓の記事もご参照ください!
VERSANTとは?
VERSANTとは、英Pearson社が開発し、日本では日本経済新聞社(以下日経)が提供している、英語テストです。
ビジネスシーンでの実践的な英語力を測定できるテストとして、日本たばこ産業(JT)やクラレなどの多くのグローバル企業や、アメリカ国防総省など、様々な法人で活用されています。
VERSANTには、VERSANT English Speaking Test、VERSANT English Writing Test、VERSANT English Placement Testなどいくつかの種類がありますが、この記事ではスピーキングテストについてご紹介していきます。
VERSANTスピーキングテストとは?
VERSANTスピーキングテストは、英語をリアルタイムで理解し瞬時に返答するという、実践的なビジネス英会話の力を測定するためのテストです。
そのため、TOEICなどの他のテストのようにペーパーテストが行われるわけではなく、試験はすべて口頭で行われます。
またオンラインで、スマホ一つで受験することができるのも、VERSANTスピーキングテストの特徴です。
試験はすべてオンラインで行われ、24時間365日好きなタイミングでスマホやパソコンから受験することができます。
試験時間自体も約17分と短く、試験終了から5分程度で結果も分かるため、他のテストに比べ手軽に受験することができます。
VERSANTスコアの要素
VERSANTの点数は、20点から80点の間で付けられます。
そして、このスコアは「文章構文」「語彙」「流暢さ」「発音」の4つのサブスコアをベースに点数がつけられます。
サブスコアもそれぞれが20点から80点の点数がつけられ、おおむねその平均が総合スコアとなるということです。
サブスコアが示す意味については、VERSANTスコアレポートによると、以下のように説明されています。
文章構文 | 文章構文は、発言を把握し、それを逐語的に発話する能力です。構文力や文章内における適切な単語、句、および節の使用の習熟度によりスコアが判定されます。 |
語彙 | 語彙力は、構文中の日常的かつ一般的な単語を理解し、自在に表現する能力です。日常的な単語の形式と意味の理解、また関連する発言におけるそれらの用法の熟達度によりスコアが判定されます。 |
流暢さ | 流暢さは、文章の組み立て、読み、反復の際のリズム、区切り及びタイミングの取り方の能力です。 |
発音 | 発音は、文脈においてネイティブ同様に子音や母音を発音し、強勢を置くことのできる能力です。日常単語の音韻構造の知識によりスコアが判定されます。 |
VERSANTスコア別のレベル目安
ここでは、日本において受験者の多い英語テストであるTOEICと、VERSANTのスコアがどのように対応してるかを比較していきます。
注意しておきたいことは、VERSANTはリスニングやスピーキングの力を測る試験であるのに対し、TOEICはリスニングとリーディングの力を測る試験であるということです。
測っている能力が2つの試験では異なるため、VERSANTとTOEICのスコアを平等に比較することは難しく、比較はあくまでもおおよその目安となります。
ここでは、CEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠)という枠組みを使って、2つの試験の点数を比べていきます。
CEFRを基準とすると、VERSANTとTOEICの点数は以下のようになります。
CEFR | VERSANT | TOEICリスニング | TOEICリーディング |
C2 | 79-80 | ||
C1 | 69-78 | 490~ | 455~ |
B2 | 58-68 | 400~ | 385~ |
B1 | 47-57 | 275~ | 275~ |
A2 | 36-46 | 110~ | 115~ |
A1 | 26-35 | 60~ | 60~ |
A1未満 | 20-25 |
((一財)国際ビジネスコミュニケーション協会公式サイト,VERSANT公式サイトをもとに筆者作成)
例えば、TOEICでリスニング、リーディングともに350点、合計700点の場合、VERSANTでは目安として47~57点程度の点数だということです。
とはいえ、日本人にはリーディングよりもスピーキングを苦手としている人が多く、またTOEICは専用の問題集などが市販されていて対策が立てやすいなどの理由から、実際にTOEIC700点の人がVERSANTを受験した場合、もう少し低い点数が出ることは十分ありえます。
日本人のVERSANT平均スコアは?
日経の調査によると、日本人のVERSANT平均スコアは38点となっています。
これを先ほどのCEFRの枠組みに当てはめると、A2レベルとなります。
このレベル帯の人の英語力が話すことができる内容としては、以下のようなものがあげられます。
・自宅に誰かを招いたり、友達や同僚の家を訪れる。
・バケーションの計画を話し合ったり、友達や同僚にその体験を話す。
・よく知っていることをテーマにした会合に出席するなど職場で基本的な会話をする。
・ゲストを歓迎したり、ネットワークイベントに出席するなど、ビジネス上での社交をする。
・自分の専門分野での基本的なビジネスの提案を理解し作成する。
日本人の中にはスピーキングが苦手な人が多いので、TOEICなど他の英語試験に比べ、VERSANTの平均スコアは低くなっています。
ビジネスシーンで使える英語力は?
海外駐在など英語をビジネスシーンで使うために必要な英語力は、最低でもB1レベル、VERSANTでいえば47点以上が目安とされています。
このレベルの人が英語で話すことができる内容としては、以下のようなものがあげられます。
・私的、または職業上での将来の夢や希望について話し合う。
・就職の面接をアレンジし、自分の専門分野での仕事の面接を受ける。
・わからない点を教えてくれる人がいれば、自分の専門分野での交渉に参加する。
・職場の安全に対して話し合い、ケガの報告をし、規則や規定を説明する。
・礼儀正しい行為を話し合い、無礼な行動に対して適切に対応する。
つまり、リスニングでは自分のなじみのあるトピックであれば会話の主要な内容を理解することができ、スピーキングでは自分の専門分野についてある程度自信を持って話すことができるということです。
ビジネスシーンで英語を使えるようになりたいと考えている人は、まずはVERSANT47点を目標とするのが良いでしょう。
また、ビジネスで英語を使って十分に意思疎通ができるようになるためには、VERSANT58点以上が目安になってきます。
英語力に自信がある方は、58点以上を目指して勉強してみましょう!
VERSANTスコア別勉強法
ここでは、現在のVERSANTのスコアに応じた適切な勉強法をご紹介します。
現状の英語レベルや課題を照らし合わせながらご覧になってください。
VERSANTスコア別勉強法:20~30点
VERSANTスコアが30点以下の方は、基礎的な英語力が不足していることが多いです。
ビジネス英語を身に着けたいからと特別な対策をするのではなく、まずは中学・高校で習ったような基本的な文法や単語の復習を行いましょう。
特にVERSANTでは、難易度の高い文法の知識や語彙を問われることは少なく、中学レベルの文法をいかに駆使してスムーズに回答するかということが得点の鍵になってきます。
基本の部分をおろそかにせず、しっかりと復習するようにしましょう。
中学文法や単語を復習する際には、以下のようなテキストがおすすめです。
VERSANTスコア別勉強法:30~40点
この点数帯が、日本人の平均レベルとなっています。
VERSANTスコアが30点台の人は、基礎的な英語の知識はありつつも、英会話を流ちょうにこなす力はまだないといったところです。
実践的なリスニング教材やスピーキング教材を中心に学習し、会話力をつけていくようにしましょう。
中でも30点台の人の人が身に付けるべき力は、実践的リスニング力です。
実際の会話でも相手の言っていることが分からなければ会話にならないように、VERSANTでも問題文を正確に聞き取るリスニング力は、スピーキング力以上に重要になってきます。
そこで、リスニング力をアップさせるためにおすすめのトレーニングが、「シャドーイング」です。
シャドーイングとは、英語の動画や音声をスクリプトを見ずに聞きながら、流れてくる音声を2、3語遅れてそっくりそのまま影のように復唱していくトレーニングです。
音声をできるだけ真似て復唱することで、ネイティブスピーカー特有の音の変化を聞き取ることができるようになり、リスニング力がアップします。
VERSANTで点数アップを目指す場合、ぜひ取り組んでいただきたいトレーニングです
VERSANTスコア別勉強法:40~46点
VERSANTスコアが45点前後の人は、日本人としては平均以上の英語力を持っていますが、実践的な場面で英語を使うには課題を抱えていることが多いです。
特に、多くの場合に共通して「スピーキングの応答の遅さ」という問題があります。
英語を口に出してアウトプットする訓練を積んでいないため、時間をかければ言いたいことが言えるけれども、とっさに応答することはできないということです。
これを解消するためには、「瞬間英作文」というトレーニングがおすすめです。
瞬間英作文とは、簡単な日本語を瞬間的に英語に訳していく勉強法です。
例えば、「彼にはいとこが何人いますか?」や「今、東京は何時なの?」といったごくごくシンプルな日本語を、ひたすら素早く英語に直していきます。
これにより、頭で考えた内容を英語にするスピードがどんどん上がっていき、スピーキングの際もテンポの良い応答ができるようになります。
VERSANTではいかにテンポよく回答ができるかという点も採点基準に含まれているので、考えたことを英語に直すスピードを上げていく効果がある瞬間英作文は、非常に有効な対策になります。
英語がスムーズに口から出てこないと感じている方は、ぜひ試してみてください。
VERSANTスコア別勉強法:47~57点
VERSANT47点以上のスコアを取得できる人は、基礎的な英語の実力は十分にあるといえます。海外出張や海外赴任の場面でも、ネイティブスピーカーに対してある程度の意思疎通ができるでしょう。
さらなるレベルアップのためには、ビジネスシーンで使われる英語を学ぶことが重要です。
基本的な会話に加え、時事的な内容や自分の仕事内容についてなど、少し複雑な内容について論理的に話すトレーニングをしましょう。
具体的には、ニュースや講演を聞いて内容をまとめてみることがおすすめです。
ニュースや講演は論理構成がしっかりとしているため、理路整然とした話をする際に非常に参考になります。
また語彙の面でも、ニュースに使われている単語を覚えることで、経済用語などビジネスシーンで使われる語彙力を身に付けることができます。
普段から英語のニュースを聞くようにする、先ほど紹介したシャドーイングの教材をTED Talksなどの講演にしてみるなどの方法で、ビジネス英語力をつけていくようにしましょう。
VERSANTスコア別勉強法:58点~
このレベル帯の人は、すでにかなり高いレベルの英語力を持っているといえます。
英語で仕事をするといった場合も、問題なく対応できるでしょう。
さらなるレベルアップを目指す場合、より幅広い分野のテーマについて抽象的な議論をできるようになるのが目標になります。
英語のニュースや討論番組を視聴し、幅広いテーマについてネイティブスピーカーの話す英語を勉強するようにしましょう。
また、場面に応じた語彙の使い分けも、このレベル帯の人にとっての課題です。
ビジネスシーン、カジュアルな日常会話など状況や話す相手に応じて、適切な語彙や言い回しを選ぶことができるようになりましょう。
いずれにせよVERSANT58点以上の人にとっては、ネイティブスピーカーの話す自然な英語に多く触れることが、一番の勉強になります。
テレビ番組、講演、日常会話など様々な場面で、生きた英語に触れるようにしましょう。
VERSANTスコアの目安を把握し、高得点を目指そう!
この記事ではVERSANTスコアを見る際の目安や日本人の平均スコア、スコアに応じた勉強法などをお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?
日本人の平均スコアが38点なのに対し、英語をビジネスシーンで使うためには最低でも45点程度の英語力が必要です。
これからVERSANTを受験される方は、ぜひこの記事を参考に、目標スコアを決めて勉強してみてください。
しかし、スピーキングテストの対策は、一人ではなかなか難しいもの。
いざVERSANTで目標点数を取得するために勉強しようと思っても、何をすればいいのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。勉強法や教材は世の中に溢れているし、どれがベストなのか自分で判断するのは至難の業です。
「時間とお金を費やしたのに、結果が全くなかった」という最悪の事態を避けるためにおすすめなのが、「英語学習のプロに、ベストな勉強法を聞く」という方法です。
しかし、英語系のスクールはたくさんあるし、どれを選べば良いのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
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参考文献
日本経済新聞社 人材教育事業局:VERSANT 日経スコア活用 BOOK
VERSANTスコアレポートサンプル https://www.versant.jp/_common/_js/pdfjs/web/viewer.html?file=Sample-Score-Report_VET.pdf