「英語が苦手でもプログラミングはできる」とよく言われます。しかし、実際に開発の現場に出てみると、ドキュメント・エラーメッセージ・ソースコードの命名や海外エンジニアとのやりとりなど、英語に触れる場面は想像以上に多いのが現実です。
「このエラーの意味が分かればすぐ解決できたのに……」
「ドキュメントが読めなくて、新しい技術のキャッチアップが遅れている……」
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、プログラミングに必要な英語力の具体例から、現場でよく使われるフレーズ、そして限られた時間の中でスピーキング力まで伸ばす効率的な学習法まで解説します。
なぜプログラミングに英語が欠かせないのか
プログラミングそのものはロジックの組み合わせですが、その周辺にあるほとんどすべての情報やツールは、英語がベースになっています。エンジニアとしてキャリアを積む中で、「英語を避けて通れない瞬間」が必ず訪れます。
コードもエラーも英語でできている
まず、プログラム言語自体が英語をベースに設計されているため、変数名・関数名・文法などはすべて英語で書かれます。さらに、コードを実行したときに表示されるエラーメッセージや警告文もすべて英語。これらが読めなければ、エラーの原因を特定するのに時間がかかってしまいます。
たとえば、
TypeError: Cannot read properties of undefined (reading ‘length’)
と表示されても、「何をどうすればいいのか」が分からなければ手が止まってしまいます。しかし、英語に慣れていれば「未定義の値からlengthを読もうとしてるんだな」とすぐに理解でき、対応もスムーズになります。
情報のほとんどが英語で書かれている
新しい技術やフレームワークが登場したとき、最も早く・正確に情報を得られるのは英語のドキュメントや公式サイトです。日本語の解説記事は時間差で出てくることが多いため、英語の一次情報にアクセスできるかどうかで、キャッチアップのスピードにも差が出ます。
また、世界中のエンジニアが活用する「Stack Overflow」などのQ&Aサイトも英語が基本です。英語で質問できる・回答を理解できるスキルは、問題解決のスピードと質を大きく高めてくれます。
グローバルな開発現場では英語が共通語
近年では、海外企業だけでなく、日本企業でもグローバル人材と協働する機会が増えています。SlackやGitHub、Zoomミーティングなどで英語を使ってやりとりする場面も当たり前になってきました。英語が使えることで、海外の開発プロジェクトに参画したり、英語圏のチームとスムーズにコミュニケーションが取れるようになったりと、エンジニアとしてのキャリアの可能性が一気に広がるのです。
現場でよく使われるプログラミング英語とは?
プログラミングに使われる英語は、ニュース英語や文学のような難しい単語ではありません。多くは、中学〜高校レベルの基本的な単語の組み合わせです。ただし、その意味が「技術的にどう使われているか」を知らないと、文脈に応じた理解ができずに混乱することもあります。
このパートでは、開発現場でよく登場するプログラミング英語を、3つのシーンに分けて丁寧に解説していきます。
① コードの中で使われる英単語
まず、コードの命名に使う英単語。関数名や変数名、ファイル名には、多くの場合「動作や意味が明確に伝わる英単語」が使われます。これはチームでの開発において、「誰が読んでも何をしているかがすぐにわかる」ことが重視されるからです。以下は代表的な例になります。
英単語 | 意味 | 例 |
---|---|---|
fetch | 取得する | fetchUserData() :ユーザーデータを取得する関数 |
update | 更新する | updatePassword() :パスワードを更新する処理 |
delete | 削除する | deletePost() :投稿を削除する関数 |
isValid | 有効か? | isValidEmail() :メールアドレスが正しいか判定 |
render | 表示する | renderPage() :ページを描画する処理 |
handle | 処理する | handleSubmit() :送信イベントを処理する関数 |
これらの英語は「命名の型」としても活用され、世界中のエンジニアが共通認識を持って使っています。意味だけでなく「どう使うか」にも注目して学ぶと、コードの読み書きが圧倒的に楽になります。
② チーム開発で使われる英語フレーズ
チーム開発では、英語によるコミュニケーションが避けられない場面が出てきます。たとえば、GitHubのプルリクエスト、Slackのチャット、レビューコメントなど。以下は、開発現場で実際によく使われるフレーズです。
- Could you review this PR?
→ このプルリク(Pull Request)をレビューしてもらえますか? - I’ll fix it ASAP.
→ できるだけ早く修正します。 - LGTM(Looks Good To Me)
→ 問題なさそうです!(レビュー時の定番コメント) - Let’s merge it after the tests pass.
→ テストが通ったらマージしよう。 - What’s the root cause?
→ 根本原因は何ですか?
これらのフレーズはすべて「短く・的確に伝える」ことが重視されており、文法的にも難しい構造ではありません。特にLGTM
のような略語は業界内で広く使われているため、覚えておくと非常に便利です。
③ エラーメッセージや技術ドキュメントで出会う英語
最後に、エラーメッセージや公式ドキュメントに頻出する英語表現についてです。英語が読めると、エラーの原因を素早く特定できたり、わからないことを自力で調べて解決できたりと、開発スピードと自立性が大きく向上します。
メッセージ | 意味・解説 |
---|---|
unexpected token | 思いがけない記号(構文エラー) |
undefined is not a function | 未定義のものを関数として呼び出している |
cannot read property 'X' of null | nullに対してXというプロパティを読み取ろうとした |
deprecated | 非推奨。今後使えなくなる可能性のある機能 |
throws an exception | 例外を投げている(異常状態) |
また、公式ドキュメントでは以下のような用語・構文もよく見かけます。
- “You can pass a callback function.”
→ コールバック関数を渡すことができます。 - “Returns a promise that resolves after…”
→ …の後に解決されるPromiseを返します。 - “This method is used for…”
→ このメソッドは…に使われます。
ドキュメント英語も、構造やパターンに慣れれば非常に読みやすい英語です。「技術英語=難しい」と思い込まず、まずは「よくある言い回し」に注目して読む練習をしてみましょう。
このように、プログラミングで出てくる英語は決して“高尚な英語”ではなく、現場で機能する「実用英語」です。しかも、使い方のパターンが決まっているので、知識として覚えるよりも口に出して身につけることが、最も効率的な習得法につながります。
プログラミングに必要な英語力を効率的に伸ばすには?
「英語のエラー文が読めない」「技術記事を最後まで読む気力が持たない」「海外のエンジニアと会話するのが怖い」。プログラマーとして経験を積むほどに、英語力の必要性を実感する場面は増えていきます。
とはいえ、時間も気力も限られた中で英語を学ぶには、やみくもな勉強では続きません。プログラミングに必要な英語に的を絞り、最短距離で学ぶ戦略が不可欠です。
ここでは、現場の課題に直結する「3つの効率的な英語学習法」をご紹介します。
1. 音読とシャドーイングで“理解”を“発話”へ
英語の技術文書やチュートリアルを読むだけでは、スピーキング力は鍛えられません。
とはいえ、いきなり話そうとしても、口が動かないのが普通です。そこで効果的なのが、「音読」と「シャドーイング」です。
公式ドキュメントや技術系YouTubeのスクリプトを声に出して読むことで、英語の語順やリズムに慣れ、自分の中に“言語の回路”ができていきます。最初は聞き取れなくても、同じ表現を繰り返すことで、少しずつ英語が「音」として体に馴染んでいく感覚が出てきます。
特に、SlackやGitHubでよく使うようなフレーズ(e.g. “Could you check this PR?” “Looks good to me.”)を繰り返し音読するだけでも、会話やチャットで即応できる「瞬発力」が身についていきます。
シャドーイングの方法について詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。

2. 英語の例文で「使い方」を学ぶ
function
、array
、callback
といった技術単語は知っていても、それをどう文章に組み込めばいいか分からないといった、読めるけど書けない・話せないという悩みはエンジニアにありがちな課題です。
だからこそ、重要なのは単語単位ではなく「表現・例文」で学ぶ」ことです。
たとえば
- “We can optimize this function by using a callback.”
- “This component renders the user profile dynamically.”
- “The current implementation works, but it’s hard to maintain.”
こういった実際の開発現場で使われる文脈つきの英語表現を繰り返し練習することで、英語が「知識」から「使えるスキル」へと変わっていきます。
このような例文を、日本語から英語に即変換する“瞬間英作文”で練習するのも効果的です。短い日本語を見て瞬時に英訳し、すぐに声に出すことで、英語を「思考に近いスピード」で使えるようになります。
瞬間英作文について詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。

3. アウトプット練習は“独り言英会話”から始める
スピーキング力を伸ばすには、実際に話す練習が不可欠です。ただ、「いきなり誰かと英語で話す」のはハードルが高いですよね。そこでおすすめなのが、「独り言英会話」。これは、自分一人で英語を話す練習法で、たとえば以下のような形で行います。
- 「今日直したバグについて1分間英語で話してみる」
- 「自分のコードの設計意図を英語で説明してみる」
- 「昨日読んだ技術記事の要点を英語でまとめてみる」
最初は文法がめちゃくちゃでも構いません。とにかく「口を動かすこと」が大事です。慣れてきたら録音して、自分の発話を見直してみましょう。話せば話すほど、英語の回路がどんどん太くなっていきます。
独り言英会話(1分間スピーチ)について詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。

このように、プログラマーにとって必要な英語力は、インプット(読む・聞く)とアウトプット(話す・書く)のバランスを保った反復トレーニングで伸ばすのが効果的です。ただし、こうした練習を日々継続するには、教材選びと学習設計が非常に重要です。
英語で話すエンジニアになるためのおすすめアプリ
「英語で質問したいのに、言葉が出てこない」「Zoom会議で何を言えばいいか分からず黙ってしまう」といった声は、英語に苦手意識を持つエンジニアからよく聞かれます。
文書を読む・書くスキルだけでなく、話す力=スピーキング力の重要性が、開発現場でも年々高まっています。
しかし実際には、従来の英語学習法ではこうした課題をカバーしきれないのも事実です。
スピーキングが伸びないのは「学習設計」に理由がある
多くの英語学習サービスは、単語帳やリーディング問題、リスニングクイズを中心としています。もちろん基礎力の底上げにはなりますが、英語を“話す力”に直結する設計になっているものは少ないのが現状です。
特に忙しいエンジニアにとって、「対面の英会話レッスン」や「長時間の英語講座」は時間的にも精神的にもハードルが高いもの。気づけばアプリをダウンロードしただけで終わってしまう……そんな経験がある方も多いのではないでしょうか?
そこでおすすめしたいのが、ビジネス英語のスピーキングに特化した学習アプリ「スピフル」です。

スピフルは、「話す英語力」を効率よく伸ばすために設計された、ビジネス英語特化型スピーキングアプリです。
ビジネスの場でも応用できるような「実践的な表現」が多数収録されており、内容はすべてビジネスシーンを想定した4,000以上の例文で構成。英語で設計意図を説明する、意見を伝える、議論に参加するなど、実際の開発現場で“使える英語”を自然に身につけられます。
また、スピフルが他のアプリと一線を画すのは、「口頭英作文 → 独り言英会話 → AIフィードバック」という、インプットとアウトプットを組み合わせた学習設計。
- ある日本語の文を瞬時に英語に言い換えるトレーニングで「引き出す力」を鍛える
- その後、1分間スピーチで自由に話す練習を行い、実践力を磨く
- 最後にAIが文法や語彙、表現の自然さまで添削・フィードバックをくれる
という流れで、ただ話すだけでなく「話しながら、気づいて、直して、学ぶ」ことができます。
さらに、7日間の無料体験を行なっています。まずは気軽にお試しください。
まとめ
プログラミングのスキルを磨けば磨くほど、英語という“もうひとつの言語”の重要性を実感する機会は増えていきます。コードは読めても、ドキュメントの英語が難しい。書いたコードの意図を説明したくても、英語でうまく言えない。海外の技術者と肩を並べて働きたいけれど、自分の言葉で発言する自信がない。
このような悩みも、英語力を身につけることで無くすことができます。
英語は、エンジニアとしての可能性を押し広げてくれる「スキル」であり「ツール」です。
ネイティブのように完璧である必要はありません。伝えたいことを、自分の言葉で伝えられるようになることが一番大切です。ぜひ今日から英語学習を進めていきましょう!