
“英語が話せるか話せないか”で掴めるチャンスが全然違うんですよね。あとは、“人生の楽しさ”が変わってくるとも思っています。
こう振り返るのは、コインチェック株式会社執行役員の大塚雄介氏です。大塚氏は、金融知識ゼロの状態から暗号資産事業に飛び込み、わずか1ヶ月でサービスをリリース。その後10年でNASDAQ上場を果たしたコインチェックの立役者の一人です。そんな大塚氏は今、英語学習に本気で取り組んでいます。
大塚 雄介 氏
コインチェック株式会社 執行役員CBDO
早稲田大学大学院修了(物理学修士)。株式会社ネクスウェイにてB2B向けITソリューションの営業、事業戦略、開発設計などを担当。その後、レジュプレス株式会社(現、コインチェック株式会社)に参画し、2014年に暗号資産取引サービス「Coincheck」を立ち上げる。2024年には親会社「Coincheck Group」が米ナスダック市場に上場。
PROGRIT PRIMEは、プログリット代表の岡田が、世界で活躍する日本のビジネスリーダーの皆様に、「なぜ今、英語を学ぶのか」、その背景や想いを伺う番組です。第1回ゲストは、暗号資産取引所サービスを提供するコインチェック株式会社 執行役員の大塚雄介氏。本記事では、対談の一部を抜粋しお届けしています。
全対談は、ぜひ下記動画でご視聴ください!
目次
物理学者からビジネスの世界へ
岡田:大塚さんといえばビジネス界でのご活躍が真っ先に思い浮かびますが、元々は早稲田大学大学院で物理学の修士号を取得されているんですよね。
大塚氏:そうなんです。小さい頃から「歴史に名を残したい」という思いがあって、ガリレオとかニュートンに憧れていました。自分も何かを成し遂げて、歴史に名前が残る人生を歩みたいと思っていて。その延長でアカデミックな道に進んだんです。
岡田:それがなぜビジネスの世界に?
大塚氏:大学院で研究していく中で、ふと冷静に考えた時、「これ、仮に成果を残せたとしても、自分が死んだ後にしか評価されないんじゃないか?」と思ったんですよね。だったら、もっと生きている間に社会に影響を与えられることをしたいなと思って。それで、アカデミックではなくビジネスの世界に進もうと決めました。
岡田:なるほど。それで新卒でネクスウェイに入社されたのですね。そこではどのようなご経験を?

大塚氏:最初は営業職からのスタートでした。理系出身でコミュニケーションも得意ではなかったのですが、1年目はまさに「ドブ板営業」というものを経験しました。正直、全く売れず、会社に貢献できている実感がゼロでした(笑)。
ただ、2年目からSaaSのようなソリューション事業に携わるようになって、そこから徐々にプロダクト開発やサービス設計へとシフトし、最終的にはプロダクトマネージャーのような役割を担うようになりました。
岡田:レジュプレス(現コインチェック)に参画されたのはどのような経緯があったのですか?
大塚氏: ネクスウェイでは新規事業をやっていたのですが、トップダウンではなく、だんだんと自分で事業をハンドリングしていきたいという思いが強くなっていました。そんな中で当時の代表の和田たちと出会って「この人たちと何かやりたい!」と感じたんです。ネクスウェイに9年勤めていたのですが、後半2年は並行してレジュプレスを一緒にやっていました。
岡田:副業でやられていたということですか?
大塚氏:2年間無給でやっていたので、自分的には趣味みたいな感じですかね。当時、みんなはゴルフや飲み会に行ったりしていたんですが、私はそういうことに興味がなかったので、レジュプレスのメンバーと一緒にやっていたほうが楽しくてやっていた。そんな感じです。
岡田:なるほど、そこからコインチェックに振り切ったのはどのような経緯があったのでしょうか?
大塚:当初は日本版LinkedInのような「STORYS.JP」というキュレーションサイトを手がけていましたが、2年間の運営を経て、このままでは10倍の成長は無理だなと感じて。次の事業として、暗号資産にピボットしたんです。
当時は金融の知識はゼロで何もわからない状態だったんですが、とにかくサービスを作って、1ヶ月でリリースしました。私はサービス画面を見る前にプレスリリースを書いていたような感じでした(笑)。
ただ、それからだんだんと暗号資産の事業が大きくなって、フルコミットするためにネクスウェイを退職しました。
なぜ今、英語を学ぶのか
岡田:大塚さんが英語学習に取り組み始めたきっかけを教えてください。
大塚氏:やはり、NASDAQに上場したことが大きいですね。これまでは、ある意味ドメスティック中心の事業運営でしたけど、これからは「日本だけでやっていればいい」という時代ではなくなってきた。グローバルとの接続が、ビジネス戦略上、必須になってきたんです。
岡田:最近はAI技術も非常に発達していますが、なぜ英語学習が必要だと思われたのでしょうか?
大塚氏:もちろん、AIは私も使っています。ですが、私は生身の人間が直接話すことによる価値がものすごくあると考えているので、英語力はAIがあったとしても絶対必要だと思っています。生身の人間同士で、その場でリアルタイムに、感情や温度感を持ってコミュニケーションすることって、AIでは代替できないんですよ。
特に海外のパートナーと新しいことをやろうとすると、レイテンシーなしでぶつかり合えることが、すごく大事になるんです。今、3ヶ月に1回、必ず海外のカンファレンスに行っているんですが、そこで「話せるか話せないか」で掴めるチャンスが全然違うんですよね。
あとは、やっぱり単純に人生の楽しさが変わってくるとも思っています。

岡田:人生の楽しさ、ですか?
大塚氏:日本語だけだと、地球上で会話できる相手がすごく限られるじゃないですか。でも英語ができれば、圧倒的にコミュニケーションの可能性が広がる。それって、人生が豊かになるってことじゃないかな、と。
実際、今、戦争とかいろんなことが起きていますが、相手の文化や背景がわからないから憎しみが生まれてるんじゃないかと思うんです。そういう意味でも、英語を学んで、相手や相手の文化を知ることができるようになる意義は大きいなと、すごく感じています。
コンセプトがドハマリしたのがプログリット
岡田:そんな想いの中で、プログリットに来ていただいたのが2023年1月でしたね。当初は英語に対してかなり苦手意識を持たれていたとお聞きしました。
大塚氏:そうですね。以前、学習していた頃からかなり間が空いてしまっていたので、英語に対しての自信を失っていた感じですね。20年くらい前ですが、大学院時代に英会話をやっていて。そのときは毎日やっていたので、ある程度は英語ができていた感覚があったんです。でも、そこから長い間、英語と無縁のビジネス生活になってしまって。
岡田:プログリットを選んでいただいたのはどのような理由だったのでしょうか?
大塚氏:理由は2つあって。1つは、何度か英語をやろうと挑戦したんですけど、全然続かなくて。「あっちをやってみようかな」「こっちのほうがいいかな」と集中ができていなかったので、一つの確かな方向性を持って取り組みたいと。
2つ目は、これは英語だけに限らないのですが、何かを学習する時や、経営もそうなんですけれど、わかっている人についてもらい伴走をしてもらった方が、圧倒的に効率性が高いと思っています。
アスリートってコーチの存在が大きいと思うんですけれど、経営もプロアスリートと一緒だと思っていて。コーチが横にいると、続くし、実力になっていくんじゃないかなと思ったんです。英語も、「正しい方法で、継続的にやる」ことが大事。そのコンセプトがドハマリして、プログリット受講を決めました。

岡田:苦手意識があった中でも英語学習を継続できるようになったのはどういった変化があったのでしょうか?
大塚氏:そこはやはりコンサルタントのおかげですね。毎日の課題と、毎週一回の面談があるので、嫌でもやらなきゃいけない。
あとは、うまくいかないと、できていないことばかりに目がいきそうになりますが、コンサルタントが「ここはできてますよ」「先週より良くなってますよ」と、できているところに光を当ててくれるんです。面談で「次までにこれだけやりましょう」と約束をするので、サボれない(笑)。自分一人だと、間違いなく途中でやめていたと思います。
岡田:結果的に、もう2年半以上継続されていますよね。
大塚氏:そうなんです(笑)。最初は半年くらいで終わるかなと思っていたんですが。でも、まだまだもっと英語力を上げたいという気持ちがあるんですよね。
あとは、やっぱり「同じコンサルタントがずっと見てくれている安心感」が大きいですね。自分の過去の状態も理解してくれているので、「前よりここができている」など、すぐに気づいて言ってもらえる。それが励みになっています。
英語でつかめたビジネスチャンス
岡田:この2年半の学習の成果は、どんな場面で実感されていますか?
大塚氏:この間、海外出張の際に、会食の席に呼んでいただいたんですが、シリコンバレーと韓国を拠点にしている方と隣同士になりまして。その方と英語で会話が盛り上がって、最終的に「うちのカンファレンスに来ない?」と、誘ってもらえたんです。
岡田:すごいですね!

大塚氏:しかも、その後「アブダビでもイベントがあるから来てほしい」と。それが王族の方も参加するようなパーティーで。そういう機会を、英語を学ぶことによって得られているということはすごく実感していますね。
実は、最初は「なんで英語をやるのか」が自分でも少し曖昧だったんです。「人生が豊かになればいい」という感覚で始めたんですが、それくらいの目標で「ストイックに毎日できるか」というと、やっぱりちょっと緩かった。
コンサルタントに「目標設定をしましょう」と言われていたんですが、目標って人から言われてすぐできるものではないじゃないですか。
だけど、学んでいくなかで、「ビジネスチャンスが掴めるかも」という経験をして、いまはそれが目標になっていますね。
同時に、「結局、私はビジネスが大事なんだな」と気づいたわけでもありますが(笑)。
さらなる挑戦へ
岡田:今後も英語学習を続けていかれるかと思うのですが、「今後こういうことができるようになりたい」などありますか?
大塚氏:ビジネスミーティングの中で、アライアンスの交渉まで英語で踏み込めるようになりたいと思うようになっています。あとは、海外のイベントで登壇したり、英語でこういった対談をできるようになりたいなというのも考えていますね。
岡田:素晴らしいですね!そのために、現在はどのような能力向上に注力していらっしゃいますか?
大塚氏:コンサルタントと話していると、スピーキングよりリスニングのほうが圧倒的に重要だと思ったんです。スピーキングは、自分のボキャブラリーの範囲で自分のフィールドで話せるので、一定稚拙でも通じるんですが、リスニングは自分のレベルに関係ないですよね。
相手が言っていることをしっかり理解しないと、全くちぐはぐなことを言って場が成立しなくなってしまうので、そういった意味でリスニングがとても重要だと思っていますね。
岡田:めちゃくちゃわかります。皆さん英語学習を突き詰めていくほどスピーキングよりリスニングが課題というふうにおっしゃいますね。

岡田:最後に、これから英語学習を始めようか迷っている方に向けて、メッセージをいただけますか?
大塚氏:私自身、もともと英語が得意だったわけではありません。やっていく中でだんだんと学んでいったところがあります。徐々にできるようになると、さらに「やりたい!」という気持ちになってくるので、少しでもやりたい気持ちがあるなら挑戦してみるといいと思います。
一人で挑戦するよりも、コンサルタントの方がいると、絶対に続きますし、絶対に実力になるので、一歩踏み出していただけるといいかなと思っています!
岡田:素敵なメッセージをありがとうございます!

📺️本対談は動画でフル視聴できます
記事では書ききれなかった大塚氏が語る英語学習の実践方法などついては、ぜひ下記動画をご覧ください!