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なぜ本田圭佑は英語を学び続けるのか

本田圭佑──プロサッカー選手として、起業家として、投資家として、グローバルなステージで私たちを驚かすチャレンジを続けてきた存在だ。大きな目標を堂々と掲げ、高みを目指し続ける彼の姿に魅了されている人は多いだろう。
彼の努力に終わりはない。自身がアンバサダーも務めるプログリットによる英語学習を、毎朝5時から2時間以上、なんと1250日以上も続けているという。
なぜ、本田圭佑氏は英語を学び、英語力を磨き続けるのか。
英語コーチングを通じて、2018年から併走してきたプログリット山碕峻太郎氏との対話から、本気で人生を切り開くための“本田思考”が見えてきた。

本田圭佑はなぜ、英語を学ぶのか

本田:

正直、僕の英語は聞くのも喋るのも、まだまだ全然ですよ。
だから、僕が英語の話をする際に、しっかりお伝えしておきたいのは、僕よりもはるかに英語力に優れた方は日本にもたくさんいるということ。
最近も、僕の半分ぐらいの年齢の日本の学生と話していたら、海外で暮らしたことがなくても、すごく実践的な英語を使いこなしていて。信じられないですよ(笑)。
ただ、勘違いしてはいけないことがあって、英語はコミュニケーションツールなんです。
これを理解していない方が多過ぎて、「うまく取り扱えない=取り扱ってはいけない」といった風潮がある。絶対、間違ったらダメみたいな。
そこが日本人の決定的な問題点ですよね。

もちろん僕も、英語が上手な方にお会いすると、すごいなと思う一方で、僕自身は「英語がうまくなりたい」わけじゃない。
僕が英語を学ぶ目的ははっきりしていて、相手が話していることを、より鮮明にしっかりニュアンスまで理解したい。僕の考えを、細かなニュアンスまで詳しく伝えたい。ただ、それだけです。
だから、現時点でも英語でコミュニケーションするときは、僕は今できる最大限で伝えているし、今あるものでキャッチしていて、仕事もそれなりにできています。その精度をもっと高めていきたいんです。

山碕:

英語を使って、何を叶えたいのか。学習を続ける上で目標設定は、ものすごく重要です。圭佑さんは、その強度が非常に高くてブレない。
改めて、圭佑さんはいつから英語学習を意識し始めたのですか。

本田:

サッカー選手として、ワールドカップで優勝するという目標がありました。
子どもの頃から、ずっと世界を意識してきたし、海外に行くと強く決めていた。だから、外国語を覚える必要があると思って、一生懸命、英語を勉強していた記憶も残っています。
実際に海外に出てみて、英語が世界の共通言語だと肌でも実感します。スペイン人とも、中国人とも、英語ができればコミュニケーションが取れる。
きっかけはサッカーでしたが、その後、さまざまなビジネスに挑戦する中でも英語は必須だ、と。

現時点で、英語は世界で成功するためのコミュニケーションツールです。
今、多くの人がスマートフォンを使うならiPhoneを選ぶように、もっとも“世界で夢を叶える”ことに近づく言語を選択すると、英語がファーストチョイスになる。

「練習試合だけじゃ、強くなれない」

山碕:

圭佑さんと私が出会ったのは、2018年。オーストラリアのチーム、メルボルン・ビクトリーへの入団が決まった頃でした。

本田:

海外生活も10年を超えていましたが、英語圏で暮らすのは初めて。英語をイチから学び直そうと考えていたので、すごくいいタイミングでプログリットに出会えました。
山碕さんとお話をして、それまでの僕の英語学習には問題があった、と気づいたんです。
ヨーロッパには12年いましたが、僕は英会話ばかりをしていました。

山碕:

多くの日本人が陥りがちですが、英会話のようなアウトプットだけで英語力は上がりません。
英語学習においては、「インプット8・アウトプット2」がもっとも良いとされています。

本田:

僕はずっと、インプット1・アウトプット9でした。
でも、英会話だけをやるのは、サッカーにたとえると練習試合だけで、日々の練習をしていないのと同じだ、と。
さらにヨーロッパにいたので、ネイティブではない者同士の英会話だった。
単語の量も、文法知識も増えないまま、発音も適当。それでもコミュニケーションは取れるんです。
でも、その頃、オフの期間にアメリカに行ってビジネスミーティングすると、毎年、鼻をへし折られてて。英語は毎日使ってるし、勉強もしているのに「全然、成長してないやん。なんでだろう」と。

山碕:

当時、英会話をしているときの人間の脳の働きを科学的に分解した「英会話の5ステップ」のお話をした記憶があります。

本田:

知識データベースとなる単語や文法を身につけることがまず重要で、その上でスピーキングをするなら、「どういうことを話すか=概念化」→「具体的な英文を作る=文章化」→「発話する=音声化」と順序があって言葉を発している、と。
そういう話に、ビビッと来た記憶があります。
子どもが英語を習得するのと、大人が第二言語として英語を学習するのでは、学びのプロセスが異なることを体系的に理解できたのもよかった。

山碕:

この英会話の5ステップの考え方をベースに、プログリットでは、まず個々人に合った学習法を導き出し、短期集中で英語力を飛躍的に伸ばすためのサポートをします。

山碕:

圭佑さんも、最初の3カ月〜半年でぐっと英語力が伸びましたね。
最初に英作文を瞬時に作って発話する「口頭英作文」のテストを受けていただいたのを覚えていますか。
当時は、1分間に5文が作れる程度。単語や文法のデータが少なかったため、一つの文を作るのに時間がかかっていました。
ビジネスに対応できる英語力は、1分間に10~15文と言われます。まず、知識データベースを増やすところからはじめていただき、現在の圭佑さんは、1分間に10文程度を作れるまで変わりました。

本田:

もちろん、昔に比べるとできるようになりました。でも、リスニングもスピーキングも、まだまだですよ。
英語インタビューや、ビジネスの場面でネイティブとのディスカッションが増えるたび、まったく通用しないと思い知るんです。
少し成長すると、すぐ新しい課題が見えてきて、また勉強する。その繰り返しで、英語学習へのモチベーションは年々上がっていますね。

逃げ道をなくすために、目標を口に出す

山碕:

圭佑さんのお話は、プログリットが考える「モチベーションを維持するための3の条件」とも一致しますね。
「①目標設定が適切であること」「②英語学習の方法に納得していること」「③成長実感があること」我々は、この3つが非常に重要だと思っています。

本田:

「毎朝5時から英語」は、もう歯磨きや洗顔のように脳みそにインプットされています。
サッカーの試合がある日も、朝5時からやりますから。
でも、自分の中でやること自体は当たり前なので続けていますが、正直、1年に何回もマンネリ期が訪れますよ。今、ほんまに成長してるんかな?って。
だから、僕も今日はつらいなって日もあるし、単なるルーティン作業として“ただやっている”こともあります。
継続のコツをよく聞かれますが、モチベーションが上がらない日も「ただやる」「質は気にしない」それでいい。365日、完璧な気持ちを強く保てる人間なんていないですから。僕も同じです。
そのルーティンの中でモチベーションを支えてくれるのが、「目標」と「成功体験」だと思います。
何のために英語を学ぶのか? 英語を通して何を実現するのか? 目的意識がなく、英語自体が目的だったら僕だって1200日も続きません。
あと、僕はよく大きな目標を公言しますが、外向けに目標を出すのは、自分に対して逃げ道をなくす意味もあるんですよ。
続けるための魔法があるとか、自分が強い人間であるとも思ってなくて、むしろ人間は弱いと誰よりも知っているからこそ、口外する必要がある。
最終的なゴールを置き、そこにたどり着くまでの目標を何個も設定していくことも大事です。
たとえば、英語でネイティブスピーカーレベルになりたいというゴールがあったときに、そうなれるのははるか先の話。
だからこそ、ゴールまでの目標を何個も設定し、その過程に成功体験を重ねていきます。

「もっと学びたい」意欲を育てるのが真価

山碕:

圭佑さんのお話は、プログリットが考える「モチベーションを維持するための3の条件」とも一致しますね。
「①目標設定が適切であること」「②英語学習の方法に納得していること」「③成長実感があること」我々は、この3つが非常に重要だと思っています。

本田: