「CASEC(キャセック)」という英語試験の名前を聞いたことはあるものの、TOEICや英検と何が違うのか、受ける意味はあるのか が分からず、受験を迷っている方も多いのではないでしょうか。
CASECは、パソコンやスマートフォンから手軽に受験でき、短時間で自分の英語力を数値化できるオンライン英語テストです。結果がすぐに分かることから、近年では英語学習者のレベルチェックや、企業・大学での英語力測定にも広く活用されています。
一方で、
- 履歴書に書いて評価されるのか
- TOEICの代わりになるのか
- 対策は必要なのか
といった疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、CASECの基本情報からスコアの見方、活用方法、対策の考え方までを、初めての方にも分かりやすく解説します。「CASECを受けるべきかどうか」を判断できる状態になることをゴールに、順を追って説明していきます。
CASECとは何か?
CASECとは英語のリーディング力とリスニング力をオンラインで測定する適応型テスト(CAT)です。
正式名称は Computerized Assessment System for English Communication で、日本語では「英語コミュニケーション能力判定テスト」と位置づけられています。
最大の特徴は、受験者の回答状況に応じて問題の難易度が自動で変化するというところです。
これにより、初級者から上級者まで、無理なく正確に英語力を測定できる設計になっています。
CASECの基本的な特徴
- オンライン完結(自宅・好きな時間に受験可能)
- 試験時間は約40〜50分
- 1000点満点のスコア制
- 試験終了後、すぐに結果を確認できる
- TOEIC・英検とのスコア目安が表示される
特に「今の英語力を客観的に知りたい」「学習の成果を定期的に確認したい」という目的において、CASECは非常に相性の良いテストです。
どんな人に向いている英語試験なのか
CASECは、次のような人に向いています。
- 英語学習を始めたばかりで、現在地を知りたい人
- TOEICを受ける前の実力測定をしたい人
- 英語学習の進捗を定期的に数値で管理したい人
- 忙しく、長時間の試験を受けるのが難しい社会人
一方で、公的な英語資格としての認知度はTOEICや英検の方が高いため、「資格として強くアピールしたい」という目的の場合は使い分けが必要です。
そのためCASECは、「証明のための試験」ではなく「把握と改善のための試験」と理解すると、位置づけが非常に分かりやすくなります。
CASECの試験内容と特徴
CASECを正しく理解するうえで重要なのが、「どんな問題が、どのような形式で出題されるのか」 という点です。
ここでは、試験内容とCASECならではの特徴を整理して解説します。
出題分野|測定される4つの英語力
CASECでは、英語の「読む力」「聞く力」を中心に、以下の4分野が測定されます。
- 語彙力
単語や表現の意味を正しく理解できているかを問う問題 - 表現力(文法・語法)
文の構造や自然な英語表現を判断する問題 - 大意把握
文章全体の要点や主旨を読み取れるかを測る問題 - 具体情報の理解
数値・固有名詞・詳細情報を正確に聞き取る、読み取る問題
いずれも、実際の英語コミュニケーションで必要とされる基礎力に直結しており、
「なんとなく分かる英語」ではなく、正確に理解できているかどうか が問われます。
試験時間と受験の流れ
CASECの試験時間は、およそ40〜50分程度です。
TOEICのように長時間拘束されることがなく、スキマ時間でも受験しやすい点が特徴です。
受験の流れは非常にシンプルです。
- オンラインで申し込み
- 自宅のPC・タブレット・スマートフォンで受験
- 問題に回答(途中で難易度が自動調整)
- 試験終了後、すぐに結果を確認
特別な試験会場へ行く必要がないため、忙しい社会人や学生でも負担が少ない のがメリットです。
CAT(適応型テスト)とは?初心者でも安心な理由
CASEC最大の特徴が、CAT(Computer Adaptive Testing)方式 を採用している点です。
CATとは、受験者の回答状況に応じて、
- 正解が続く → 少し難しい問題が出る
- 間違いが続く → 易しい問題が出る
というように、問題の難易度が自動で調整される仕組みです。
この方式により、
- 初級者が難しすぎる問題で挫折しにくい
- 上級者は簡単すぎる問題に時間を取られない
- 少ない問題数でも精度の高い測定が可能
といったメリットがあります。
「英語に自信がない」「久しぶりに英語のテストを受ける」という方でも、
実力以上に難しく感じることが少ない ため、安心して受験できます。
受験料と受験方法(個人・法人)
CASECは、個人受験・法人利用のどちらにも対応しています。
- 個人受験:1回あたり数千円程度で受験可能
- 法人・教育機関:社員研修やクラス分けテストとして導入可能
特に法人利用では、短時間・低コストで英語力を数値化できる 点が評価され、人材育成や現状把握のツールとして活用されています。
CASECのスコアの見方と目安
CASECを受験したあと、多くの人が最初に気になるのが
「このスコアは高いのか、低いのか?」 という点です。
ここでは、CASECスコアの基本的な仕組みと、英語レベルの目安について解説します。
CASECスコアの仕組み(1000点満点)
CASECのスコアは、1000点満点で表示されます。
この数値は、試験中の回答状況をもとに算出されるもので、単なる正答数ではなく、英語理解力全体を統計的に評価した結果です。
また、スコアとあわせて以下の情報も確認できます。
- 分野別の評価(語彙・表現・リスニングなど)
- TOEIC・英検の目安スコア
- 自分の英語レベルの位置づけ
そのため、「点数だけ見て終わり」ではなく、
どこが強く、どこが弱いのかを把握するための指標として活用できます。
TOEIC・英検とのスコア換算目安
CASECでは、受験結果画面にTOEICや英検に換算した目安スコアが表示されます。
これは公式な代替資格ではありませんが、英語力のレベル感をつかむうえで非常に参考になります。
一般的な目安は、以下のように考えると分かりやすいでしょう。
- CASEC 300点前後:英語初級(基礎語彙・簡単な文章理解)
- CASEC 500点前後:英語中級(TOEIC600点前後が目安)
- CASEC 700点以上:英語中上級(業務で英語を使い始められるレベル)
- CASEC 900点以上:英語上級(高度な内容も理解できる)
※あくまで目安であり、完全に一致するものではありません。
重要なのは、他人との比較ではなく、過去の自分との比較に使うことです。
自分の英語レベルをどう判断すべきか
CASECのスコアは、「合否」や「資格認定」を目的としたものではありません。
そのため、次のような視点でスコアを見ることが重要です。
- 前回よりスコアが伸びているか
- 特定の分野だけ極端に低くないか
- 学習内容と結果が一致しているか
たとえば、
- 語彙スコアが低い → インプット不足
- リスニングが弱い → 音声に触れる量が足りない
といったように、次の学習アクションにつなげるための材料として使うことで、CASECの価値が最大化されます。
この「弱点の可視化」は、英語学習サービスやアウトプット学習と組み合わせることで、より効果を発揮します。
CASECは就活・転職・社内評価で使える?
CASECを調べている方の多くが気になるのが、
「このスコアは評価されるのか?」 という実用面です。
ここでは、就活・転職・社内評価それぞれの観点から、CASECの位置づけを整理します。
履歴書・職務経歴書に書けるのか
結論から言うと、CASECのスコアは履歴書に記載すること自体は可能です。
ただし、TOEICや英検のような全国的に知名度の高い資格と比べると、単独で強いアピール材料になるケースは限定的です。
そのため、履歴書に記載する場合は、
- TOEIC未受験、または受験予定がある
- 英語学習を継続している証拠として示したい
- 現在の英語レベルを補足的に伝えたい
といった目的で使うのが現実的です。
記載する際は、単に「CASEC〇点」と書くだけでなく、
TOEIC換算の目安とあわせて記載する と、採用担当者にも伝わりやすくなります。
企業・大学での活用事例
CASECは、企業や大学の内部評価ツールとして多く活用されています。
- 新入社員・新入生の英語レベル把握
- クラス分け・研修前後の効果測定
- 海外部門配属前の現状確認
このように、「合否を決める試験」ではなく、
育成や配置判断のためのデータとして使われるケースが中心です。
短時間・低コストで実施でき、結果がすぐに出る点は、
大量の受験者を扱う組織にとって大きなメリットとなっています。
人事・教育担当者から見た評価のポイント
人事や教育担当者の視点では、CASECは次のように評価されています。
- 英語力の「現在地」を客観的に把握できる
- 定期的な測定で成長度合いを確認しやすい
- TOEIC対策前の基礎力確認に使える
一方で、
- 社外向けの公式資格としての認知度は限定的
- 昇進・昇格の判断材料としては補助的
という位置づけになることが一般的です。
つまりCASECは、「評価のための資格」ではなく「育成のための指標」として使われている英語テストだと理解すると、実態に近いと言えます。
CASECの対策方法|短時間でスコアを伸ばすコツ
CASECはTOEICのように「専用の公式問題集」がある試験ではありません。
しかし、出題傾向と試験の性質を理解すれば、効率的な対策は十分に可能です。
ここでは、CASECに向いた考え方と、スコアを伸ばすための実践的なポイントを解説します。
CASECに特化した勉強法はある?
CASECはCAT(適応型テスト)であるため、
テクニックで点を稼ぐ試験ではありません。
重要なのは、
- 語彙・文法・リスニングといった基礎力を底上げすること
- 「なんとなく理解」ではなく、正確に意味を取る力を身につけること
です。
そのため、直前対策よりも、
日常的な英語学習の積み重ねがスコアに直結する試験だと考えるとよいでしょう。
分野別対策のポイント
CASECは分野ごとにスコアが可視化されるため、
弱点を意識した対策がしやすいのが特徴です。
- 語彙が弱い場合
頻出単語レベルの見直し、例文での意味理解を重視 - 文法・表現が弱い場合
中学〜高校基礎レベルの文法を「理解ベース」で復習 - リスニングが弱い場合
スピードを落とさず、短い音声を繰り返し聞く練習が効果的
「量をこなす」よりも、理解できなかった理由を明確にする学習 が重要になります。
初級・中級・上級別の対策イメージ
英語レベル別に見ると、CASEC対策の考え方は次のように整理できます。
- 初級者
まずは語彙・基礎文法を固めることが最優先 - 中級者
文章全体の意味を捉える練習、リスニング量の確保 - 上級者
細部の聞き取り・読み取り精度を高める学習
CASECは「今の実力」を正確に反映しやすいため、無理に対策を詰め込むよりも、普段の学習内容がそのまま結果に出る試験だと捉えるのがポイントです。
CASECは「英語力の現在地」と「弱点」を可視化する
CASECを受験すると、総合スコアだけでなく、
- 語彙・表現・リスニングなどの分野別評価
- 英語理解力の強み・弱み
- TOEIC換算の目安スコア
といった情報を一度に把握できます。
これはつまり、
「今の英語力で、何が足りていないのか」 を感覚ではなくデータで確認できるということです。
英語学習が伸び悩む原因の多くは、
「何を重点的に学ぶべきか分からないまま、なんとなく勉強してしまうこと」にあります。
CASECは、この迷いを解消し、
学習の方向性を定めるためのスタート地点 を与えてくれます。
測定だけでは英語力は伸びないという前提
ただし、CASECで弱点が分かったとしても、それだけで英語力が伸びるわけではありません。
CASECはあくまで測定ツールであり、
- 単語を覚える
- 文法を理解する
といったインプット学習だけを続けていても、「使える英語力」にはつながりにくいのが現実です。
特に、CASECで明らかになる弱点は、知識不足というより「使う経験不足」 によるものが多く見られます。
アウトプット学習にスピフルを活用するという選択肢

CASECで可視化された弱点を埋めるために有効なのが、アウトプットに特化した英語学習サービス「スピフル」です。
スピフルは、英語を「話す」といった実践的なアウトプットを中心に設計されており、インプット偏重になりがちな英語学習を、自然と実用寄りに修正してくれます。
CASECと相性が良い理由は明確で、
- CASECで見えた弱点を意識した練習ができる
- 正誤ではなく「伝わるかどうか」に焦点を当てられる
- 日常・ビジネスを想定した英語を使うため、実務に直結しやすい
といった特徴があります。
CASECが「英語力の現在地を測るツール」 だとすれば、スピフルは「その現在地から一段上へ引き上げるための練習環境」 と言えるでしょう。
定期的なCASEC受験で学習効果を確認する
おすすめなのは、次のような学習サイクルです。
- CASECで英語力を測定する
- 結果から弱点を把握する
- スピフルでアウトプット中心の学習を行う
- 一定期間後に再度CASECを受験する
この流れを繰り返すことで、
- 学習の成果が数値で確認できる
- 学習方法のズレに早く気づける
- モチベーションを維持しやすくなる
といった効果が期待できます。
CASECとスピフルを組み合わせることで、英語学習は「続けるだけのもの」から、成長を実感できるプロセスへと変わっていきます。
まとめ
CASECは、オンラインで手軽に受験でき、短時間で自分の英語力を客観的に把握できる英語テストです。
TOEICや英検のように、資格としての知名度や証明力は限定的ですが、
- 今の英語力を正確に知りたい
- 学習の方向性が合っているか確認したい
- 英語学習の成果を定期的にチェックしたい
といった目的において、非常に高い価値があります。
特にCASECの特徴は、総合スコアだけでなく、分野別の強み・弱みが分かる点です。
これにより、「何となく勉強している状態」から、課題を意識した学習へと切り替えやすくなります。
一方で、CASECは合否や級を判定する試験ではありません。あくまで「測定」を目的としたテストであるため、スコアを確認したあとに どのような学習を行うか が重要になります。
定期的にCASECを受験し、
- 英語力の変化を数値で確認する
- 学習方法を見直す
- 成長を実感しながら学習を続ける
このように活用することで、CASECは英語学習を継続するための指針として役立ちます。
英語学習に迷いを感じている方は、まずはCASECで「今の英語力の現在地」を確認してみるとよいでしょう。

