英語のスピーキングやライティングで、「なんだか不自然に聞こえる」「話の流れがぎこちない」と感じたことはありませんか?
その原因のひとつが、ディスコースマーカー(discourse markers)の使い方にあるかもしれません。
ディスコースマーカーとは、会話や文章の流れを整理し、聞き手にとって“分かりやすい”英語にするためのつなぎ表現です。たとえば、「so」「actually」「you know」「by the way」など、ネイティブが会話の中でよく使う言葉が該当します。
こうした表現を自然に使えるようになることで、英語は一気に“こなれた”印象になります。しかし、使い方を間違えると不自然になったり、逆に分かりづらくなってしまうこともあるため、正しい理解と練習が欠かせません。
この記事では、ディスコースマーカーの基本から使い方、ネイティブ的なニュアンスの違い、実際の会話やライティングでの使い分けまでを丁寧に解説します。
ディスコースマーカーとは?意味と役割をやさしく解説
ディスコースマーカーの定義
ディスコースマーカーとは、英語の会話や文章において、話のつながり・流れ・構成を明確にする役割を持つ語句のことです。
日本語で言う「つまり」「さて」「でも」「実はね」といった“つなぎ言葉”や“話し手の意図を示す表現”がこれに当たります。
例:
- So, what do you think?(それで、あなたはどう思う?)
- Actually, I don’t agree.(実は、私は賛成ではありません。)
- By the way, did you get my email?(ところで、メール届いてた?)
接続詞や副詞との違い
ディスコースマーカーは接続詞や副詞と重なる部分もありますが、文法的な機能よりも話の“流れ”や“話者の意図”を表す点で独自の役割があります。
表現の種類 | 目的 | 例 |
---|---|---|
接続詞 | 文と文をつなぐ | because, but, although |
副詞 | 文の要素を修飾 | quickly, probably, often |
ディスコースマーカー | 会話や論理の流れを整理する | actually, so, well, I mean |
なぜ英語学習において重要なのか?
ネイティブとの会話では、ディスコースマーカーを自然に使えるかどうかが“英語らしさ”を左右します。また、IELTSやTOEFLなどの試験でも、“coherence(話のつながり)”が評価ポイントとして明確に存在しています。
さらに、これらの表現は単なる飾りではなく、聞き手の理解を助けるガイドのようなもの。適切に使うことで、論理的で説得力ある話し方・書き方ができるようになります。
ディスコースマーカーの主な種類と使い方【ジャンル別】
ディスコースマーカーには、使われる場面や意図によってさまざまなタイプがあります。ここでは、代表的なジャンルに分けて実用的な表現とその使い方を解説します。
① 話の流れや順序を示すディスコースマーカー
目的: 話の段階を整理し、聞き手にわかりやすく伝える。
表現 | 意味・使い方 | 例文 |
---|---|---|
first of all | まずは | First of all, thank you for coming. |
then | それから | Then I started working as a waiter. |
finally | 最後に | Finally, we decided to move abroad. |
使い方のポイント:
プレゼンや1分スピーチなどで話を整理するのに便利。スピフルの1分スピーチ練習でも、構成の明確さが評価されるため効果的に活用できます。
② 意見や補足を加えるディスコースマーカー
目的: 追加情報や視点を補足したいときに使う。
表現 | 意味・使い方 | 例文 |
---|---|---|
actually | 実は/本当のところは | Actually, I don’t think that’s correct. |
in fact | 実際には | In fact, she’s already left the company. |
by the way | ところで(話題転換) | By the way, did you see the news today? |
使い方のポイント:
実際の会話でよく使われる自然な表現。スピフルではAIが話の自然さやつながりをフィードバックしてくれるため、実践的に学べます。
③ 相手に確認・共感するためのディスコースマーカー
目的: 相手の理解を確認したり、共感を示したりする。
表現 | 意味・使い方 | 例文 |
---|---|---|
you know | 〜でしょ?/わかるでしょ? | It’s hard to explain, you know? |
I mean | つまり/言い換えると | I mean, we should try again. |
right? | 〜だよね?(確認) | We’ll meet at 3, right? |
使い方のポイント:
カジュアルな会話でよく使われ、親しみやすい印象を与える。言いすぎに注意しながら、自然に混ぜるのがコツです。
④ 因果関係や対比を示すディスコースマーカー
目的: 原因や結果、反対の意見など論理的な関係を示す。
表現 | 意味・使い方 | 例文 |
---|---|---|
so | だから/それで | It was raining, so we stayed home. |
because | なぜなら | I was late because my train was delayed. |
however | しかしながら(フォーマル) | However, the plan still needs approval. |
on the other hand | 一方で | I love cities. On the other hand, I enjoy nature too. |
ネイティブがよく使うディスコースマーカー例とニュアンス【知っておくと“一段上”の英語に】
ディスコースマーカーの中には、辞書に載っていても意味がつかみにくい・使いどころが難しいものも多くあります。ここでは、ネイティブスピーカーが日常的によく使う自然な表現と、その微妙なニュアンスの違いを解説します。
「well」「so」「anyway」などの“間(ま)”を作る表現
表現 | 主な使い方 | ニュアンスのポイント |
---|---|---|
well | 考えながら話を始めるとき/意見を整理したいとき | 「えーと」「まあ」など日本語の“間”に近い |
so | 前の内容をまとめたり、話を進めるとき | 「それで」「だから」に近い、やや論理的 |
anyway | 話を元に戻したり、締めくくるとき | 「とにかく」「話を戻すと」など、ややカジュアル |
例文:
- Well, I’m not sure about that.
- So, let me explain what I mean.
- Anyway, let’s move on to the next topic.
「like」「I guess」などカジュアルで主観的な表現
表現 | 主な使い方 | ニュアンスのポイント |
---|---|---|
like | 話にリズムをつける/例を挙げる | 若者が多用/“埋め草”としても使われる(やや砕けた印象) |
I guess | 意見をやわらかく言う/断定を避ける | 自信のない時や遠回しに伝えたい時に便利 |
例文:
- It was, like, super busy today.
- I guess we could try a different approach.
注意:
カジュアルすぎる場面ではフォーマルな場面に不向きなことも。ライティングやビジネスの場では避けるのが無難です。
丁寧さや“英語らしさ”を演出するディスコースマーカー
表現 | 主な使い方 | ニュアンスのポイント |
---|---|---|
you see | 説明の導入・補足をしたいとき | 聞き手の理解を促すやさしい語りかけ |
in other words | 言い換え・要約をしたいとき | わかりやすく丁寧に言い直すときに有効 |
to be honest | 正直に言うと… | 意見や本音を伝える際に「前置き」として使える |
例文:
- You see, the situation is more complicated than it seems.
- In other words, we need to rethink our strategy.
- To be honest, I’m not sure if this is the right time.
こうした表現を会話の中で自然に使えるようにするには、「知る」だけでなく「話しながら覚える」ことが重要です。
スピーキングやライティングでの活用法と注意点
ディスコースマーカーは、単語や文法のような「知識」ではなく、“伝え方”の質を上げるスキルです。特にスピーキングや英作文では、話の構成や一貫性が重視されるため、適切なマーカーを使いこなすことで、より論理的・自然な英語が実現できます。
① IELTS・TOEFL・英検でも評価される「流れの良さ」
英語資格試験では、流暢さ(fluency)や一貫性(coherence)といった観点がスピーキング・ライティングの評価基準に含まれています。
例:IELTS Speakingの評価基準にある「Coherence and Cohesion」では…
- 論理的なつながりがあるか
- 適切なディスコースマーカーを使っているか
- アイデアをどう“展開”しているか
→「and」「but」だけでは足りず、“In my opinion”や“On the other hand”のような表現がしっかり使えることが高得点につながります。
② 使いすぎ・ワンパターンに注意!
ディスコースマーカーは便利な一方で、多用・乱用すると逆効果になることも。特に以下のような使い方は避けましょう:
- 同じ表現を何度も繰り返す(例:”like… like… like…”)
- 本題が伝わらないまま、マーカーで引き伸ばしてしまう
- カジュアルすぎる表現をフォーマルな文に使ってしまう
改善のコツ:
- 自分がよく使うマーカーをリスト化して「使いすぎ」をチェック
- 類義表現に言い換える練習を取り入れる(e.g. “so” → “as a result”, “therefore”)
③ 適切なレジスター(場面・相手に合った表現)を意識する
同じ意味でも、フォーマル/カジュアルでふさわしい表現は異なります。
スピーキングとライティングでの“使い分け”を意識しましょう。
カジュアル寄り | フォーマル向け |
---|---|
you know | as you may know |
like | such as / for example |
well | to begin with |
I think | in my opinion |
ディスコースマーカーの実践例文集
ここでは、ディスコースマーカーを実際の文脈でどのように使えば自然に伝わるかを理解できるように、日常英会話と英作文・ライティングの2パターンで具体例を紹介します。
日常英会話での使用例(カジュアル・口語)
会話のつなぎとして使われるディスコースマーカーは、“ナチュラルさ”の鍵。
スピフルの1分スピーチでも、自然な話し方を身につけるために効果的です。
例1:話を展開する
First of all, I’d like to thank you all for coming.
→ まずは、お越しいただきありがとうございます。
例2:補足を加える
Actually, I’ve never been to New York.
→ 実は、ニューヨークには行ったことがないんです。
例3:話題を変える
By the way, did you finish the report?
→ ところで、レポートは終わった?
例4:言い換える
I mean, we should wait until tomorrow.
→ つまり、明日まで待った方がいいってこと。
ライティング(英作文)での使用例(フォーマル・論理展開)
英検やIELTS、TOEFLなどの英作文では、論理的なつながりを示すディスコースマーカーが評価されます。
例1:理由を述べる
This is important because it affects global health.
→ これは世界の健康に影響を与えるため、重要です。
例2:意見の対比
However, some people may disagree with this idea.
→ しかしながら、この考えに反対する人もいるだろう。
例3:例を挙げる
For example, many students struggle with time management.
→ たとえば、多くの学生が時間管理に苦労している。
例4:結論を述べる
In conclusion, it is clear that education plays a vital role in society.
→ 結論として、教育が社会で極めて重要な役割を担っていることは明らかである。
学習のヒント:まずは「使いやすい5つ」を覚えておこう
最初からたくさん覚えようとするのではなく、以下のような使いやすく汎用性の高いディスコースマーカー5つから始めるとスムーズです。
シーン | おすすめ表現 |
---|---|
話を始める | First of all |
意見を述べる | In my opinion |
例を挙げる | For example |
逆の立場 | However |
話を締める | In conclusion |
まとめ|ディスコースマーカーは「伝わる英語」の土台
ディスコースマーカーは、英語の自然な会話や論理的な文章を作るうえで欠かせない“つなぎ”の表現です。
単語や文法を覚えるだけでは身につかない、「英語らしい流れ」を生み出す力こそが、ディスコースマーカーの真価と言えるでしょう。
スピーキングにおすすめのアプリ

ディスコースマーカーを「知識」として覚えるだけでは、実際の会話やスピーチで自然に使うのは難しいのが現実です。とっさに口から出すには、反復練習と客観的なフィードバックが欠かせません。
そこでおすすめなのが、ビジネス英語スピーキング特化アプリ「スピフル」です。
スピフルが“使える表現”に変えてくれる理由
- 1分スピーチで“つなぎ”の訓練ができる
→ 「so」「actually」「on the other hand」など、論理展開を意識しながら話す習慣が身につく - AIが不自然な表現や言い換えを提案してくれる
→ たとえば「but」ばかり使ってしまうと、“however”や“although”などのバリエーションを提示 - 話した内容が文字起こし&添削されるから、改善点が明確
→ 単に話して終わりではなく、どこをどう直すとより自然かを学べる
スピフルについて詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。

よくある質問(FAQ)
Q1. ディスコースマーカーと接続詞の違いは何ですか?
A. 接続詞は文法的に文と文をつなぐ働き、ディスコースマーカーは会話や論理の“流れ”を示す機能です。
例:but は接続詞、however はディスコースマーカーにあたります。
Q2. スピーキングで自然に使えるようにするには?
A. 実際に声に出して使う練習を繰り返すことが大切です。
特に1分スピーチや英語での即興回答などの中で、ディスコースマーカーを意識的に使うと定着しやすくなります。
Q3. ライティングでよく使われるディスコースマーカーは?
A. in conclusion / for example / on the other hand / therefore など、論理構成を明確にする表現が多く使われます。
アカデミックライティングや資格試験対策でも必須の表現です。
Q4. スピフルではディスコースマーカーも練習できますか?
A. はい、スピフルのスピーキングトレーニング内で自由発話に挑戦する際、自然な流れを作るためのフィードバックが受けられます。
特に「この表現は不自然」「もっとこう言うといい」というAI添削が、実践力を大きく伸ばします。